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ぼんやりとした不安 ー日本のショック・ドクトリン-

ありえないとは思いつつ、
最近、どうも気になることがあります。

古い話で恐縮ですが、1952年逓信省、電気通信省と官営で行われてきた電信電話事業が日本電信電話公社に引き継がれ、その後1985年には電電公社からNTTへと民営化され、日本電信電話株式会社が設立されました。(NTTホームページより)

1987年(昭和62年)国鉄が民営化されました。

2004年国立大学が法人化されました。
同年 4 月、154 の国立病院・療養所の全て(国立高度専門医療センター 8 ヶ所と国立ハンセン病療養所 13 ヶ所を除く)が、非営利の独立行政法人(独法)である国立病院機構の下で運営されるようになりました。

2007年(平成19年)には、郵政民営化が断行されました。

これまで、電信、鉄道、大学、病院が、郵政事業は次々と民営化(病院に関しては完全な民営化とはいいにくい面もありますが)されてきました。

国民全体に大きな影響を与える事業が、これまでに次々と民営化されてきました。
あと残っているのは、公立学校くらいじゃないのかと思うのですが……。

こういう、民営化や自由化は自由主義経済を旨とする国においては避けられないのかもしれません。

新自由主義とは、「現代の経済学の一学派、ミルトン=フリードマンらに代表されるシカゴ学派が提唱している経済思想」(新自由主義 (y-history.net))のことで、自由競争と効率化を最重要視するものです。

さて、かろうじて残っている公立の小中学校は、この新自由主義のもとでどこまで耐えられるのでしょうか?

公立学校がなくなるなんてあり得ない、というのはあり得ないかもしれない(非常に中途半端な言い方ですが)。

フリードマンは、ニューディール政策などの公共事業を重視したケインズ主義に反対して「真の変革は、危機状況によってのみ可能となる」と述べたと言います。
それに対してナオミ・クラインは、それが惨事便乗型資本主義であるとして自著『ショックドクトリン』を世に出しました。
2005年8月末にアメリカ合衆国南東部を襲った大型ハリケーンによって甚大な被害がもたらされたルイジアナ州では、公立学校のほとんどが半官半民の「チャータースクール」となり、実質的に民営化されました。

全米で実施された学力テストによって、成績が振るわなかった学校は完全に民間に経営が委託され、教職員の大量解雇という事態を招きました。

日本は、本当に公立学校がそのまま続くのでしょうか?
なんとも不安になるのです。

全国学力学習状況調査の正答率の平均に一喜一憂している自治体。
独自の学力テストで、公立学校同士を競わせている自治体。
公立と私立が切磋琢磨すれば、教育の質は上がると信じる政治家。

私はあまり政治のことを語るのは好きじゃないですが、競争原理に基づけば必ず競争に勝つ者と負ける者が生まれ、その両者は分断されます。

すべての子どもに教育の機会均等を保障するなら、公立の義務学校はなくすわけにはいかないはずです。

さまざまな施策が打ち出される昨今、それらが公立学校にどのような影響を与えるのかを私たちは注意深く見つめることが必要です。

もうすでに、多くの教育現場に企業が参入しています。
企業のロゴが入った「学校だより」が出される日が来ないことを祈るばかりです。

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