真っ青な空
お昼時。彼氏の家からの帰り道。
置き手紙ひとつで仕事に出た彼には、正当性しかない。
信号待ちで立ち止まると、目の前のカップルがキスをして笑い合った。
途方にくれるとは、このことか。
今、目の前にあるキラメキは、私たちにはもうない。
ノーメイクのジャージ姿。髪はシャワーを浴びたてで、濡れたまま。手に持った紙袋には、昨日のデートで来たワンピースがくしゃくしゃになって入っている。
ポケットに手をいれて立ちすくむ己の姿を俯瞰して、これが証拠だと思った。
見上げた空は、蒼白していた。
「別れよう」
零れた声は、確かに、私に染み込んだ。