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映画「春の雪」レビュー

ずっと気になっていた「春の雪」という映画。大正時代の華族の悲恋物語だ。私が中学生の時からずっと気になっていた映画。(YouTubeで見たときは、映像が美しく、大正ロマンっぽく、憧れの大正時代の世界観をたっぷり堪能した。)

 「春の雪」をDVDでみた。

感想としては、とにかく清顕があまりにも身勝手で、ラストまで清顕がかなりダメダメで、「春の雪」の登場人物の中では清顕が最も嫌いな登場人物になった。

綾倉聡子が、清顕に思い寄せているところや、清顕に「もし私がいなくなったらどうするの」という問いかけにも、清顕は素っ気ない反応をする。そして友人・本多に聡子と付き合えとか、聡子の手紙に女中と朝まで抱いたとか、遊郭に通っているとほめかかしたり、聡子から届いた手紙も読まず燃やす。とにかく聡子に対してあまりにも不誠実すぎてもうダメダメな清顕だった。

それどころが聡子が洞院宮治典王殿下と婚約し、天皇からも正式な許可が降りた後に、清顕が「聡子はもう手に入らない存在」と自覚したあと、聡子に猛アタックして、聡子と密会を重ねる。聡子の体を重ねたり、キスしたりして、まさに「聡子は俺のモノ」だという感じに自覚していたように見える。

聡子が奈良のお寺で出家したときも、聡子に会いに奈良まで行く。(親友・本多は「もう諦めよう」と言ったのにも関わらず、清顕はどこまでも聡子のことを諦めず、追いかけていく)

お寺で門払いされようが、清顕は聡子に会うことを諦めない。その結果、体調が悪くなり、東京から本多を呼び寄せてきて、本多が清顕の代わりに聡子に会わせてくれないかと寺の関係者に問い合わせる役割をさせる。

とにかく清顕の行為があまりにも幼稚で身勝手すぎて嫌悪感を抱いたため、私は清顕を演じた妻夫木聡もまで嫌いになりそうだった。親友・本多や聡子があまりにも気の毒に見えた。  

聡子は、清顕に比べたらかなり大人で芯の強い女性だった。聡子を演じた竹内結子さんの演技力と、所作が凄かった。竹内結子さんはここまで演技が凄かったのかと改めて見直した。聡子はあまりにも清顕に振り回されて気の毒という一言しかない。

親友・本多は、清顕の身勝手な行為に振り回されながらも、親友のためにあれこれとやっていたのが、かなり好感を持てた。私の中では清顕の印象がどんどん下がるのに対して、本多の印象がどんどん上がっていった。(もう本多がかなり気の毒に見えた)

インテリアや小物などが当時の大正時代の上流階級を反映しているためとても良かった。

感想としては、原作の三島由紀夫『春の雪』を読んだことがないため、映画が良かったのか、悪かったのかは分からないが、映像はとても美しくまさに大正時代のロマンチックな世界であった。清顕と聡子の部屋もかなり豪華で、清顕の屋敷も凄かった。大正時代の華族の世界観をよく再現していて、大正時代のロマンチックな世界に入り込んだ感じだった。このような映画は2020年代では作れないと思う。しかしこの映画の評価は清顕の身勝手な行為があまりにも印象に強くて、個人的な評価としては微妙である。





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