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鼻先の天使

優しくて真っ直ぐで、凛とした百合の香り。何処かへ隠れているような、かすみ草の健気な香り。太陽と友達になれる気がする、元気なミモザの香り。

花たちの香りは、いつも私たちに寄り添ってくれています

夕方の公園の香り、運動場の鉄棒の金属の香り・・・これは幼い頃から苦手な香りです。

母がいつも、お化粧をするときに使っていたガーゼの香り、祖母がお正月のお供えで作る、きなこ餅の香り・・・これは少し切ないけれど大好きな香りです。

香りと、その時の出来事が折り重なって、私の五感に記憶を刻んでいます。

確かに「香り」に対しても敏感に反応してしまうので「好まない香り」はどうしても存在してしまいます。

そんな私が今、大好きな香りは「お出汁を、こしている時の香り」です。

誰もが知っている懐かしい香りなのに、日々感じるものが違い、自分の感情や体調のバロメーターにもなり得る香りだと思います。

お出汁をとりながら、元気な時その香りに触れると、柔らかな毛布に包まれたような気持ちになり、少し疲れた時に触れると、郷愁に満ちた気持ちになるような気がします。

人それぞれに感じ方が違い、好きも嫌いも千差万別です。

それにこの頃は「香りに敏感な自分」も良しとしています。

心がピクッと揺れるような嬉しい香りは、小さな天使が運んで来てくれたプレゼントのような気分になるからです。

何につけても感じやすい傾向の自分は、早く多く季節を感じたり、食材の香りで食欲が湧いたり、天使が訪れる機会が増えているんだと考えるようになりました。

目に見えない、形にならない「香り」ですが、私たちの記憶に長く佇んでいます。

文字では伝わりにくい両手いっぱいの花の香りを、あなたへ届けられたら、私も幸せの香りで包まれる気がします。

さあ深呼吸して、天使を迎えましょう。

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