スパイスを制する者は全てを制す。ディープなSFアクション巨編「デューン 砂の惑星 PART2」第97回アカデミー賞期待の作品紹介Vol. 5
AWARDS PROFILE Vol. 5
デューン 砂の惑星 PART2
各映画サイト評価
Rotten Tomatoes: 92%
Metacritic: 79
IMDb: 8.5
Letterboxd: 4.4
あらすじ
戦争が始まった。貴重な資源スパイスが採れる砂の惑星アラキスをめぐって、大領家がぶつかり合う。鍵を握るのは救世主と予言された青年ポール・アトレイデス。彼は砂の民フレメンと行動を共にし、大領家や背後で全てを操る皇帝と立ち向かう…。
監督・キャスト・注目ポイント
1965年刊行のフランク・ハーバートによる壮大なSF小説が原作の本作は、2021年に公開された一作目の続編だ。今回も監督はドゥニ・ヴィルヌーヴが務めていて、彼のこだわりの圧巻の映像美が炸裂する。また監督はジョン・スペイツと共に脚本も担当している。撮影グレイグ・フレイザー、音楽のハンス・ジマー、編集、美術、衣装、メイクアップ等、一作目に引き継ぎ、腕利きのメンツが揃っていて、砂の惑星ワールドを大いに支えている。キャスト陣も相変わらずの超豪華な布陣。主人公にして運命の鍵を握るポール・アトレイデスは、ティモシー・シャラメが扮していて、次世代スターとしてのカリスマを放っている。
ゼンデイヤ、ハヴィエル・バルデム、レベッカ・ファーガソン、ジョシュ・ブローリン、ステラン・スカルスガルド、デイヴ・バウティスタ、シャーロット・ランプリング等、前作から続投組に加えて、オースティン・バトラー、フローレンス・ピュー、クリストファー・ウォーケン、レア・セドゥーといった顔ぶれが今作から出演。まるで砂の惑星でアカデミー賞でも開催しているんですかと言いたくなる。今年の3月に公開されて、北米だけで2億8000万ドルを超える大ヒット、批評も好評だった。
個人的な感想
1というよりも半分程度のストーリーで終わってしまったデューンの一作目。二作目となる今作は、よりディープなテーマと大規模なアクションも相まって圧巻のSF絵巻に仕上がった。砂の惑星ことアラキスの救世主とされる青年ポールは、アラキスの民フレメンと行動を共にし、アラキスでしか採れない貴重な資源スパイスを狙う大領家や、裏で手を引く皇帝に立ち向かう。
前作では地中深くを蠢いていたサンドウォームも、盛大にその巨体を露わにして大暴れ。あれに乗るというシーンだけでも大スペクタクルだ。あと、どうやって降りるのかも是非教えて欲しい。今作で大きなテーマの一つとなるのは信仰だ。信仰によってフレメンたちは結束を固め、大いなる脅威へと立ち向かう。そしてそれは何を犠牲にするのか。予知的な能力を得た救世主ポールの葛藤や、やがて危ういほどの力を持ち始める彼の動きから目が離せなくなる。また一方で、その流れを頑なに拒絶するチャニの動きが、異なるうねりを生み出す。
ポールとチャニの愛し合いながらも、すれ違う思いが切ない。核を力としてチラつかせるのも現代的だ。いよいよ主人公として輝き出したシャラメを筆頭にゼンデイヤ、ファーガソン、バルデム、ピュー、ウォーケン等の豪華なスター達が、壮大な宇宙オペラに花を添える。ベストは真っ白タマゴボーイと化したバトラーか。一秒先の考えが読めないフェイド=ラウサの狂気を捉えた。
あの時間、確かにデューンにいたような感覚にさせた監督ドゥニ・ヴィルヌーヴ率いるチームの才能(撮影、編集、音楽、音響、美術、衣装・メイクのあらゆる面)と、外の世界からの救世主リサン・アル・ガイブの前途を祝して、ここに唾を吐かせてもらいます。
長後を制する者は全てを制する。