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太極拳を指導する

自分が修行しながら、太極拳を指導する立場にいるわけですが、指導する側もいろいろな考えを持っている方がいます。
例えば、上級の指導員に教わったことを自分の後輩に教えない指導員がいます。その方曰く、「教えたら勿体無い」というわけです。自分が身銭を切って教わったことを簡単に教えたら勿体無いと。あとはアドバンテージを取りたいのでしょうね。そういう印象を受けました。

私は、教わったことは割とすぐに出来るだけ全部、後輩に教えます。
もちろん、そのひとが受け取れる状態にあるのかはある程度見極めますけど。
それはひとに教えることで、自分が得られるものが非常に大きいからです。
あとは例え全部伝えたとしても、全部は伝わり切らないことを知っているからです。ひとにものを伝えるのは本当に難しいことです。

太極拳は理論があります。
理屈を学んで身体をその理屈に合わせて動かすことで、「する」のではなく「なる」状態になります。

「先在心、後在身(せんざいしん、こうざいしん)」と言われます。
先に理論に基づいた「心(意思)」があります。
ここを伝えないと太極拳はお遊戯になります。

私も上級の先生から太極拳を教わるときは、理論と一緒に身体の動かし方を教わります。それを自分の身体で確かめて、さらに後輩に教えることで、理論を磨きます。言った通りに後輩が動かなければ、どこかに見落としや間違いがあるはずです。そこをみて勉強することが私の本当の修行だと思うのです。
後輩と同じ状態になってみて、どう身体が動いたのか、どうある状態を要求されていて、どこの部分が間違っているのか、自分の身体で確かめながら先生から教わったことをさらに深く理解していく。
これが一番楽しいし、大事だと私は思っています。

だから、「教えたら勿体無い」のは「勿体無いなぁ」と思うのです。

人それぞれ大事にしていること、目的としていることが違うのは当たり前なので、私と違う人を批判するつもりは全くありませんし、そういう人がいてもいいのだと思います。実際、私はその人にとって余分なことを教えているのかもしれませんし(笑)。

でもそんな私に教わりたいと言ってくださる方もおられるので、今日も楽しく太極拳教室を頑張ってきたのでした。

ああ、でも後輩に言ったことを自分が体現できるように、自分の修行はもっと真面目にしないとな〜。
仕事の昼休みに10分程度、やるのが精一杯なのが残念。
でも太極拳をやるのが楽しくて堪らない今日この頃なのでした。


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