答え合わせ
旅の最終日。
初日に訪れた「mui」にふたたび訪れた。
やはり何とも不思議な空間。
在るようで無く、無いようで、しかし確実に在る。
今この瞬間が全てであることを感じさせてくれるような。
コーヒーと焼き菓子を注文し、奥の席へと進む。
私たち2人は何をするわけでもなく、何を話すわけでもない。
しかし一人でいるとも違い、そこに存在している。
そして「mui」の店主と奥様も、店の奥で作業をしていて姿は見えずとも、その空間に確かに存在している。
30分から1時間ほど過ぎただろうか。
そして、最後にこんな質問をしてみた。
「なぜ、このお店の名前はmuiというのか?」
この旅でずっと頭の片隅にあった引っかかり、なぜ旅の始まりが"ここ"だったのか。
「無為自然」
それがこの店の由来だった。
店主が大学時代に老子に興味を持ちこの言葉に出会ったという。
そんな世界観をこの沖縄という場所で表現したく、この「mui」が生まれた。
無為自然とは、簡単にいうと、知識や情報などの思考や欲を持たず、自分の内側から湧き上がる感覚にありのままに生きること。という意味である。
全てが繋がった。ここにいる時間、旅で出会う人々、そこで感じたありのままの感覚。
まさに、「無為自然」という旅だった。そして、この言葉を最後の最後に聞いたことも”答え合わせ”のようで面白い。
自然の流れを感じ、自然の流れに身を委ね、そこで感じる自分自身の感覚を解放した。
無為自然であることは、自然との調和、巡り合わせでもあるのかもしれない。