「希望のゆりかご」についての裏話など
3/13~3/24代々木に3点出展します。
ひとつひとつの作品についての説明を投稿していきます。
前回は、こちら
最後の、みっつめ。
3点の中では最大の作品です。
と言っても、S0号相当の円です。
縦長動画
横長動画(ちょっとゆっくり)
ついに出産のシーンです。今年の個展のテーマは「出産」です。
胎生以外の生き物も描く予定です。というか、今のところ決まっているラフは、胎生じゃないのが多いです。個展に先駆け出展させていただく3月と6月も、卵生の生き物を選びました。卵生だから選んだわけではないのですが、描きたいと思った生き物が卵生でした。産卵も、何かを、命を、産み出す行為であることには変わりありません。
私は卵塊を描きたかったので、描くことが出来とても嬉しいです。モリアオガエルと言えば卵塊、と私は思っています。そしてもちろん、この卵塊も、モリアオガエルのそれとは違うのですが、卵塊をつくるというところだけは反映させました。またこの卵塊には、それぞれのカエルの星が入っています。
卵塊は、昨年の個展の最大の絵とも関係があります。
この中に、雷のシャンデリアがあるのですが、卵塊はこの雲その2という感じです。しかし、雷とは関係ありません。優しいもこもこを描きたかったのです。そこで思い浮かべたのが雷のシャンデリアでした。卵塊は、最初からかなりイメージができていて、しかし、なかなか制作はそこまで辿り着けず、とてももどかしかったです。
卵塊には、あの星も使いました。2月に神戸に出展した船の立体作品に使った手漉き和紙(楮紙)の星です。
この変容中の船の星は、必要な数がわからなかったので、たくさん切りました。作品にならなかった分は、いつか使おうと思っていました。その「いつか」が、来た気がしたのです。
裏にもいくつか貼りました。ペンで色々書いたので、少しだけ壁から離したいと思いました。本当は、フェルトか何かを用意しようと思っていましたが、間に合わなかったので、今回は特別なパーツを用いました。次回も同じにするかどうかはわかりません。今回は偶然手に入りましたが、これを通常仕様にすると、このパーツをつくるためだけにけっこう手間が(材料費も)かかるので、ずっと続けるのは難しいかもしれません。どこかの段階で切り替えないといけないと思っています。
あるいは、全部奥まった部分に書くかです。0号はちょっと小さいので、難しいですが、奥まった部分の大きさはいちばん小さい絵よりは大きいので、いちばん小さい絵に書けたということは書けなくはないのかもしれません。
裏に色々書く時は、ここまで考えられませんでした。全体的に書きたかったので、壁と接する部分にも書いてしまいました。
他の2点は、金具を使ったので、隙間ができるので大丈夫だと思い、貼りませんでした。3点目のこの作品は、エンパネでできていて、
裏側は輪になっています。言葉でうまく伝えられませんが、パネルだけで壁掛けが出来る構造になっています。そして、掛け方によってはピッタリ壁にくっつくのです。昨年の個展は、裏は木のままでしたが、今回は塗ってあります。木に直接ではなく、塗った上に字を書きました。
話は変わりますが、生き物たちを見守る船のシリーズは、生き物たちが主役ということもあり、船の位置が端っこになりがちなので、この絵では中央にしてみました。船もこのゆりかごの制作に加わっている感じです。実際は肉体が無いですし、あったとしてもカエルではないので、カエルたちと同じようには協力できないかもしれませんが、気持ちは寄り添っています。物語の後半で、船はいつも生きとし生ける者たちを全力で応援しているのです。本当は生き物以外のことも全力で応援しているのですが、今年はひとまず昨年の続きということで生き物です。
物語が前半から後半になる場面は、こちらです。
3月の3点の作品は、昼間から夜へ、という時間の移り変わりを表現することも考えたのですが、暗い絵が多めになってしまう(特に3枚目は大きめなので)と思い、3枚目も明るい色にしました。暗い絵が悪いというわけではありません。今年の作品群について、色んな色の作品を用意したかったのです。しかしなんだか私が選んだ生き物は、夜に産むタイプが多い気がして、全体を見渡した時、色が偏ってしまうと思ったのでした。
(実は今、6月に出展予定のホタルについても色の感じを再検討中です。ラフは、出来ているのですが・・・。)
3月の絵は、スリーピングビューティーターコイズの色を活かすことが出来、とても嬉しいです。葉っぱは、昨年の個展の最大の絵に使った技法の応用でつくりました。
昨年はけっこう広い画面でしたが、今回はそれに比べとても狭い範囲にちょっと新しいことをしました。色が、色々出来ました。今後も応用できそうで色々してみたいです。
3点目のカエルたちの目は、星になっています。
ゆりかごの制作モードなのです。
カエルたちは立体作品を制作するのでなんだか親近感が湧きました。
オスのカエルたちが共同制作に加わる前にひと波乱あったりしたほうが物語として面白くなるかもとも思いましたが、今回は文字数も限られていますし、仲良しバージョンにしました。平和がいちばんですし。
ピカレスク様には絵だけでなく言葉の物語もお取り扱いいただき、大変感謝しています。詳しい素材の紹介も。簡単に言うとミクストメディアですし、そう書いた方が場所も取りませんし、私も楽なのですが、私の作品は色々な素材が使われていることにも価値があるとおっしゃっていただき、明記することになりました。その分スペースもいただいてしまい、お打ち合わせや掲示等々のお手間も増やしてしまいましたが・・・大変感謝しています。制作中、頑張って記録しましたが、夢中でつくっていると記録し忘れることもあり、「など」になっています。
「出産」に関する文章についても、あたたかいご対応に感謝しています。
素材
木、アクリル絵具、天然石の水彩絵具(スリーピングビューティーターコイズ)、楮紙、金箔、天然石粉末、象牙色、淡口珊瑚末、濃口珊瑚末、紫雲末、瑪瑙末、杉葉色、天然群青、岩焦茶、朽葉色、緑瑪瑙、碧玉、雲母、青貝粉など
会期中、ピカレスク様にて絵と言葉の作品をご覧いただけます。
他にも色々な展示が。
ピカレスク様は「スプリングクリーク」という建物に入っていらっしゃるので、ちょうど春の水辺の話を描くことができたのも嬉しいです。
皆様の春が素敵なものになりますように。
ありがとうございます。それでは、また。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?