「STOMP ストンプ」イギリス発の音楽パフォーマンス来日公演
デッキブラシ、バケツ、ごみ箱、ビニール袋、タイヤチューブ、紙、スーツケースなどを「楽器」として、パフォーマーたちが身体全体を動かしながら演奏を披露する舞台。タップのように足を使った動きも多用。
打楽器のような使い方が多いので、基本的にはリズムが中心になるが、柔らかいゴム状の(?)棒(タイヤチューブを切ったもの??)や鍋のようなもの(ごみ箱の蓋??)は、所々メロディーを奏でているかのようだった。後者は金属音で、チャイコフスキーのバレエ曲『くるみ割り人形』の「金平糖の踊り」の高音部分みたいだった?!
楽器は高級なイメージがあるが、日常の中に身近にあるもので音楽を生み出すことで、一般庶民の手に届くもの、一般の人が楽しめるものにしようとしているのだろうか。イギリスなら、労働者階級(ワーキングクラス)が、従来の楽器とはまた違う面白い音楽を作り出すという文脈だろうか。
そして、おそらく特に労働者階級の中では、「ひ弱」や「女性的」な男性が蔑まされる文化があったと思うが(現在もある?)、そういうキャラクター設定のパフォーマーが「いじられ」て笑いを取るのは、いじめのようにも見えてしまう。しかし、彼がおいしいところをもっていく、という側面も少しはある。シェイクスピア劇の道化のようにとまではいかないが、ほかのみんなが見落としているところをうまく突いたりとか?
夏休み中のためか親子連れも多かった。観客を巻き込む演出で、子どもたちは声を出したり、パフォーマーのまねをしたり、踊ったりと、反応がいい。途中泣き叫んでいる子もいたが。シリアスな演劇で大きな声を出す観客がいるとせりふが聞き取れなくて困るが、こういう舞台は客席が少々騒がしいくらいがいいのかもしれない。
パフォーマーのリードによって観客が一緒に手拍子をする場面もあった。大盛り上がり。
「100分ノンストップ」の公演だが、少し長く感じた。1時間くらいでもいいかも。
東急シアターオーブは初めて訪れたが、後ろの席でも、段差がきちんとあるので舞台が見やすい。舞台近くに座っている人々は、パフォーマーの細かい演技まで見えて、すぐ反応していたが、そういう細かい演技は遠くからではわかりづらかった。
公演後、劇場から駅まで歩いたとき、スーツケースを引っ張って歩く人とすれ違い、そのスーツケースの車輪が床を転がる音が音楽に聞こえた。周囲の音も人の声もすべてが音楽になる。自分がミュージカルの出演者になったように感じた。パフォーマンスのすてきな効用。
公演情報
公演名:STOMP ストンプ
出演:STOMP ストンプ カンパニー
会場:東急シアターオーブ (東京・渋谷ヒカリエ11階)
公演日時:8月16日(水)〜 8月27日(日)
主催:キョードー東京/ぴあ
チケット料金:
平日公演:S席¥9,800、A席¥8,800、B席¥7,800(税込・全席指定)
土日公演:S席¥10,800、A席¥9,800、B席¥8,800(税込・全席指定)
※3歳以下入場不可
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