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『インディオの村通い40年 <いのち>みつめて』清水 透 著
歴史・人類学研究者の著者が、数十年にわたり、メキシコにあるインディオの村を訪ねて調査した記録。
詳しい学術研究についてではなく、親しくなった人との交流や、現地調査をする学者として、人間としての心構えや、自身や娘の病気を通して学んだことなどを、エッセイとしてつづっている。
もともとは「東京新聞」に連載されていたコラム。
人間を学問の「対象」としてカテゴリーに閉じ込めることには問題がある。いかに研究を進めるのか、著者の真摯な姿勢が伝わってくる。
娘の真帆さんのあまりにも早い死には、読んでいるだけで涙しそうになる。しかし、その気丈な言葉に、こちらまで勇気づけられる。
薄いブックレットなのでやや物足りないかもしれないが、その分、深い内容を手軽に、でもよく味わいながら読める。