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アート・美術、美術館・博物館・ミュージアム、展示

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アート・美術、美術館・博物館・ミュージアム、展示に関する情報や鑑賞記録など。
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2022年6月の記事一覧

『未来のアートと倫理のために』山田創平 編著:なぜ今の世界で私は芸術に関わろうとするのか

『未来のアートと倫理のために』山田創平 編著:なぜ今の世界で私は芸術に関わろうとするのか

京都精華大学のプロジェクト「芸術実践と人権――マイノリティ、公平性、合意について」で行われた2年間のレクチャーやゼミなどの公開プログラムと、新たな原稿を収録した本。

多彩なアーティストや芸術関係者が登場し、どの話もとても興味深い。

最も感銘を受けたのは、山田創平「芸術が、私と世界を架橋する」。一般的に言われていることなのかもしれないが、人間は世界を直接つかむことはできず、芸術があることで世界と

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『美術館の誕生―美は誰のものか』岩渕潤子著

『美術館の誕生―美は誰のものか』岩渕潤子著

初版が1995年の古い本。昔読んだと思うが、久しぶりに再読。

「はじめに」の冒頭で、日本の美術館・博物館は、行く価値がないからめったに行かない、と宣言している。欧米のミュージアムに行ける立場ならそれでもよいかもしれないが・・・とか、日本美術には興味がないのか?(海外でも日本美術の展示はあるが、日本でしか見られないものも多いだろう)とか、思ってしまった。

ヨーロッパやアメリカの美術館・博物館の成

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美術展「ボテロ展 ふくよかな魔法」Bunkamura ザ・ミュージアム:量感が迫ってくる絵

美術展「ボテロ展 ふくよかな魔法」Bunkamura ザ・ミュージアム:量感が迫ってくる絵

人間も、果物も、花も、すべてが膨れている。マッスの迫力がすごい。柔らかでいながら、中世美術のように硬直している。ほほえましさがあふれる一方、皮肉が効いている。

《黄色の花》《青の花》《赤の花》の3点組の巨大な静物画は、ぽってりとした花瓶にぽってりとした花の束が生けられている。花、花瓶、背景、台の色合いも計算し尽くされているのだろう。花瓶の周りに両手を回して抱きかかえたいという衝動に駆られた。

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特別展「琉球」東京国立博物館

特別展「琉球」東京国立博物館

「沖縄復帰50年記念」と銘打った、東京国立博物館での展示(九州国立博物館へ巡回)。

琉球王国の時代の出土品や工芸品、美術作品などを幅広く展示していて興味深い。しかし、記念行事としてだけ取り上げるのではなく、普段からもっと目を向けたり、沖縄の現状の政治的・社会的な面にも目を向けたりすることも必要。

『刀剣乱舞』とのコラボ企画があったらしく、写真撮影可能な1室で、刀剣のガラスケースの前だけ行列にな

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「スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち」(グレイツ展)東京都美術館

「スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち」(グレイツ展)東京都美術館

イギリスのスコットランドの首都エディンバラにあるナショナル・ギャラリーのコレクションから、15~19世紀の絵画を展示。

同美術館の目玉作品が多数来日しているわけではないが、イギリスのウィリアム・ブレイクとトマス・ゲインズバラの絵を見られたので、一応満足。

ヴェロッキオ(帰属)の通称「ラスキンの聖母」も美しかった。