急性疾患と慢性疾患
病気には急性疾患と慢性疾患があると思う。急性疾患の場合、薬を飲むなり、処置によって割とすぐ治ったりする。大体一件目に行った病院で治る。ただ慢性疾患の場合はそうはいかない。薬を飲んでも治らなかったりする。あるいは、治ったかと思ったらまた再発したりする。こうなると、大体目の前の医者は間違っているのではないかと思ってくる。それで病院をあちこち行くことになる。こういうのをドクターショッピングという。
僕は10代後半から慢性的に湿疹ができるようになった。薬を飲んだり塗ったりすると確かに一時的には治るのだが、また再発してくる。僕はこれは何かの病気なのではないかと思い、あちこちの病院に行った。ただどこの病院に行っても治療法は変わらなかった。せいぜい、塗り薬や飲み薬の種類が変わった程度だった。要は僕にとって湿疹は慢性疾患というか、体質的な問題であり、「付き合っていかなくてはならない」ということに気づくのに随分時間がかかった。
大体急性疾患の場合は、一件目の病院で治るだろう。ただ慢性疾患の場合はそうはいかない。どこの病院に行ってもスッキリとは治らないだろう。その時に気づくのだ。「ああこれは付き合っていかなくてはならない病気なのだ」と。
僕の場合、鬱もある。鬱も僕にとっては慢性疾患だ。多分薬を飲んで治る病気ならもうとっくに治っている。鬱になってから2件ほど病院に行ったが治らない。要はそういうことなのだ。慢性疾患なのだ。付き合っていかなくてはならない問題なのだ。
ただ一回だけ病院を変えて治った例がある。風邪をひいた時に、たまたま行った内科が漢方薬を出す主義の先生で、漢方薬のみ処方された。ただ、風邪が中々治らない。それで違う内科に行って、いわゆる普通の「風邪薬」を飲んだらすぐ治ったことがあった。病院を変えて良かった例はこの一回のみだった。
慢性疾患を治していくためにはある種の「諦め」と「努力」が必要になってくる。「諦め」とは「こういう体質だから仕方ない」という諦めだ。「努力」とは食事や運動など、まあ色々な工夫をして生活を変えていくことだ。要は医者や薬がどうこうより、患者の考え方や生活の改善が求められるということだ。
以前こういう記事を書いたが、ここで紹介させてもらった、精神科医の樺沢紫苑さんや『基礎知識』さんは、中々治らない鬱に対して、医者や薬がどうこうより、ざっくりいうと本人の問題と言われている。これは聞こえようによっては中々厳しい意見かもしれない。ただこういうのは鬱で悩んでいる人には受けが悪いと思う。鬱が中々治らない人は往々にして、医者が合っていないとか薬が合っていないと思うので、まさか原因が自分にあるとは思わない。まあこれは僕の経験談なのですが。
まあホントに治る病気なら大体一件目の病院で一発目の薬で治るものなのだろう。薬というのは大して差がないように思う。
僕は鬱というのは病気であって、病気といえば薬で治る、と思っていた。ただ、薬を飲んでいるだけでは治らない、というのに気づくのに随分時間がかかった(薬を飲んだら治ったという人もいると思うが)。要は急性疾患と慢性疾患の治し方の違いに気づかされたのであった。
というか病院なんて(なんてと言って失礼だが)診断基準やガイドラインがあり、大体こういった症状にはこういった治療法をする、というのが決まっているはずだ。だからどの病院に行っても治療法はそれほど変わらないはずだ。
だから名医というのは、医者と薬に出来ることの限界を示してくれる人だと思っている。