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たまたま読んだ本14:「71歳、年金月5万円、あるもので工夫する楽しい節約生活」本当に5万円で生活できるの? 楽しんで節約に好感

71歳、年金月5万円、あるもので工夫する楽しい節約生活

71歳の女性が、一人で年金月5万円で楽しく暮らしているって、何か嘘っぽい。月5万円で生活できるの? どんな風に暮らしているのだろうと興味を持って読んだ。

いやあ、すごい。実に前向きである。

節約は知的な行為です。
少ないお金でいかに毎日の生活を充実させ、楽しくできるか、そのためにどんな工夫をするのか、料理だけではなく、ファッションもインテリアも、つまり衣食住という、人が生きる上での基本的なことをどんなふうにやり繰りするのか、そこにその人の知性が見え隠れしているのではないかと思います。節約とは限りあるお金をどんなふうに「遣う」かを考え抜く知的な行為なんですね。
まるで少ないお金の知的生活を楽しんでいる。

母子家庭で二人の子供を、安定していないフリーランスの仕事で育てて身につけた生活の知恵が随所に活きてくる。

子供が独立した後、年金受給開始前の64歳の時、古い公団から築40年の中古住宅を貯金をはたいて購入した。家賃も管理費も修繕積立費も不要な終の棲家である。高齢になると賃貸住宅を借りるのが難しくなってくる。たまたま見た中古一軒家、今買えば安くしてくれるというので思い切って購入した。貯金はゼロになったそうだ。

フリーランスだったので、国民年金だと思うが、国民年金は多くても月7万円程度だと聞いたことがある。普通はとても生活できない金額だ。著者自身、内心は不安だらけだったのに違いない。

年金月5万円を、固定費をおおよそ1万円ずつに決める。つまり、光熱費1万円、固定資産税、健康保険、介護保険、NHK受信料などの特別出費積立費1万円、通信費1万円で計3万円。残りが食費、消耗品、交通費、医療費となる。

一人の生活は、健康が大きな課題なので、食生活が健康の基本と認識して三つのことを決めた。
①三食ちゃんと食べる。②食費は月1万前後とする。③安く、美味しく、かつ栄養のあるメニューを考える。
その結果、

始めてみると、この生活は私には快適でした。好きなものを好きなように食べることができます。量も質も自分好みにできます。
今では安い食材を工夫して食べることは習慣になりました。
もっとよかったのは食費月1万円でやっていけるとわかり、お金の心配、不安がなくなったこと。元気になったのは、この不安がなくなったのが大きな原因かもしれません。
その工夫はこれまでにない健康な身体と心をもたらしてくれ、新しい世界を開いてくれることになりました。
まさに身体が、心が、人生が変わったのです。

と言い切る充足感が伝わってくる。

お金を遣わない生活のメリットとして次の5つを紹介する。

①安く美味しく身体にいい食生活で若返った。
スーパーでまず安い野菜を探す。シンプルに料理することで、簡単においしい料理が楽しめる。

②お金への不安がなくなった。
食を決めることで、それほどお金を遣うことなくやっていけるメドが立った。年金内で生活できるとわかった。これは大きいい成果でした。

③お金の遣いどころがはっきりしてきた。
メリハリのある遣い方ができるようになった。プチプラ(小さい価格)生活を続けるなかで、片付けや洋服のリメイク、DIYを始めるようになりました。

④節約は無理したり、我慢したりしなくても楽しくできるとわかった。
食費を減らそう、生活費を切り詰めようと「数字」から入ったわけではなく、「安くて美味しい食材は何だろう」ということと、「とにかくお金は遣わない」というこの2点だけから始めました。日々の生活の中で、「今日は何を食べよう」「どんなふうにすれば美味しくなるかな」と毎食の食事つくりに集中していたのです。

⑤将来=死への不安もなくなった。
70歳を前にして人並に「就活」なるものを始めました。
プチプラ生活は、いつのまにか心地よく生きる活動になっていた。
後ろ向きの気持ちから前向きに変わっていったのです。

実に人生観の大転換を成し遂げたようですね。

著者は、同書で、食事のメニューや調理法をはじめ、家のリフォーム、DIY,洋服のリメイクなどの数々を紹介し、健康のための掃除や朝の散歩と土手の階段の駆け上がりなどの運動も続けていることを披瀝し、今が一番幸せだと言い切る。

前向きに工夫しながら積極的に生きる姿には好感が持てる。
ただ、自宅の急な階段の上り下りや昨今の物価上昇、また人生は予測できないことが多いので、ケガや事故、病気、災害、家の老朽化など様々な出費が待ち受けていることに対する準備が必要になってくる。
と悲観的に考えると人生は暗いものになりがちだが、著者は、多芸多才だけでなく、大変な努力家で、一つ一つの問題を、知恵を絞り楽しんで生活しているようだ。
どんな状況でも、工夫次第でどうにかなる。
そう、どんな生活でも前向きな工夫を楽しむことが大事かも。

問題は健康維持。これは年齢に関係なく、一番大事。
健康でいてこそ、生活の楽しみもある。
しかしいつか動けなくなる日が確実にやって来る。
またこの年になると認知症も問題もある。
その対策もできていることだろうと思いたい。

71歳、年金月5万円、あるもので工夫する楽しい節約生活

出版社:大和書房
発売日: 2022/7/23
単行本:240ページ
定価:1,540円(本体1,400円)

著者プロフィール

紫苑(しおん)
1951年生まれ。牡羊座。地方新聞社勤務を経てフリー。2年前のコロナ禍のなか年金の少なさと向き合い、対策を考える。2020年3月から「月5万円年金生活」を実行しはじめブログにアップ。美味しく健康にいい月1万円レシピや、リメイクおしゃれ、百均DIYなど、お金を遣わなくても楽しめる工夫の数々を紹介。反響を呼び、新聞、雑誌、テレビなどでも取り上げられる。少ない年金でも安心して暮らすためのノウハウや生活スキルを知ってもらうため、日々活動している。

トップ写真:カンナ


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