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400字エッセイ

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2022年4月の記事一覧

旅先への移動と旅先での移動

旅先への移動手段にこだわりがない。飛行機も電車もバスも自転車も、それぞれ個人的に好きな点、嫌いな点がある。 飛行機は、移動時間の短さと空の景色が好き。空港までの移動とフライト時刻に縛られるのは嫌い。 電車は、(移動時間にもよるが)ゆっくり本を読めること、駅弁を楽しめること、車窓の眺めをぼんやり見ながら黄昏る自分に酔うことが好き。新幹線を使うと一気に費用が跳ね上がることが嫌い。 バスは、費用が安いことが好き。移動時間の長さが嫌い(バスよ、好きなことが少なくてごめん!)。

旅に求めるもの、求めること

おそらく、僕が旅に求めていることは「非日常」なので、旅先の条件とかは特にない。強いて言うなら旨いものが食べたい。地元の名産である必要はなく、地元民に愛された店である必要もない。旅先で感じる「あれ食べたい、これ食べたい」を満たしてくれたらそれで充分。 宿泊先もこだわらない。基本的には旅に出る前に宿を予約するので、宿のグレードは予約する際の自分の気分とお金に対する意識に依存する。ただ、できるだけ朝食バイキングが付いているホテルは避ける。というのも、朝食バイキングの満足感が、食べ

ふらっと旅

ふらっと旅に出たい衝動に駆られることが年に数回ある。このふらっと旅に出たい欲は、旅を心底愛しているわけでもない僕に対してもそれなりに強い重みで、それなりの頻度で押し寄せるので、旅好きの人は大変だなとたびたび思う。 観光地をめぐってもすぐに疲れるし、そもそも人が多い場所は得意ではない。食べるのは好きだけどいわゆるグルメではないので、旅先でも普通にコンビニを使う。疲れたらホテルやスタバで本を読んでることも多い。歴史に造詣が深いわけでもないので、歴史的建造物を目の前にしても感嘆の

良いも悪いもないこと

カナダ留学で学んだことは多いが、その中でもずっと頭から離れない話がある。 中国出身の友人が「スマホ忘れてきた。友人に電話したいからタケのスマホ貸して」と言うのでスマホを渡すと、彼は迷うことなく番号を入力して友人に電話をかけた。 「電話番号覚えてるのすげえ」と伝えると、彼は「そんなの当たり前」と言いたげにキョトンとした顔を見せてくれた。 「僕は誰の番号も覚えてないなー」と言うと、彼は「家族や恋人の番号も?」と詰め寄ってきた。実家の固定電話番号は覚えているけど、家族の携帯番

「社会の歯車」という表現を変えたい

「社会の歯車」という表現は実に響きが悪い。マイナスのイメージが強すぎる。少なくとも、ポジティブな意味合いで受け取る人に出会ったことがない。誰もが「社会の歯車にはなりたくない」ように感じる。 一方で、誰もが「人間は一人では生きていけない」と思っている。モノとサービスが世界中で行き交う現代では、この考えを否定することは難しい。 そして、「人間は一人では生きていけない」と「社会の歯車」は同義だと思う。一人一人が世界を創り上げている。もちろん、世界を創り上げているのは人間だけでは