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良いも悪いもないこと

カナダ留学で学んだことは多いが、その中でもずっと頭から離れない話がある。

中国出身の友人が「スマホ忘れてきた。友人に電話したいからタケのスマホ貸して」と言うのでスマホを渡すと、彼は迷うことなく番号を入力して友人に電話をかけた。

「電話番号覚えてるのすげえ」と伝えると、彼は「そんなの当たり前」と言いたげにキョトンとした顔を見せてくれた。

「僕は誰の番号も覚えてないなー」と言うと、彼は「家族や恋人の番号も?」と詰め寄ってきた。実家の固定電話番号は覚えているけど、家族の携帯番号は覚えていない。いつもスマホの連絡先から電話をかけるから覚える必要がない。

「スマホが使えない緊急事態のときはどうするん?」とさらに詰め寄られた。返す言葉が見つからなかった。

こうして「記憶する」という機能が失われるんだろうな。他では「書く」と言う機能もそうだ。

あれから何年も経ったけど、未だに家族の携帯番号を覚えられていない。

400字エッセイ書いています。

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