高齢者は食事からのAGE量が多いほど、認知機能の低下が速い
本日は、高齢者は食事からのAGE摂取量が多いと、認知機能の低下が速くなる、という発表がありましたのでご紹介いたします。
▶論文概要
高齢者における食事性AGEs(dAGEs)と認知機能の低下との関連性を検討するため、非認知症高齢者(n = 684)を対象に調査を実施した。
ベースラインのdAGEが高いほど、グローバルな認知機能低下の速度が速かった(Estimate = -0.003 (standard error = 0.001, p-value = 0.015))。
この関連は、エピソード記憶(-0.004(0.002、0.013))と知覚速度(-0.003(0.001、0.049))の低下によってもたらされたが、意味記憶、ワーキングメモリ、視空間領域では見られなかった。
これらの関連は、心血管危険因子や糖尿病を含む疾病をコントロールしても減衰しなかった。
▶論文情報
Higher Dietary Intake of Advanced Glycation End Products Is Associated with Faster Cognitive Decline in Community-Dwelling Older Adults
(USA)
Nutrients 2022, 14(7), 1468
発行日:2022年3月31日
様々な食品、特に動物性食品をフライやグリルなどの高温で調理すると、非肉類や茹でたり蒸したりといった低温で調理する食品と比較して、より高いレベルのAGEsが生成されることが分かっていますが、今回の研究結果から、日々のAGEsの摂取合計量が最も重要である可能性を示唆しています。
食事性AGEsは、ある認知領域には他の領域よりも大きな影響を与える可能性があり、高齢者の脳の健康にAGEsのような修正可能な食事因子が潜在的な役割を果たすという認識が広まっていることを支持するものです。
食事性AGEsの増加と認知機能低下との相関の基礎となる生物学的メカニズムは不明ですが、循環性AGEsの増加による全身への悪影響か、中枢神経系(CNS)構造への特異的影響によるものであろうと考えられています。
高齢者ではAGEsの全身濃度と認知機能の低下が速いことが判明しており、糖尿病では血清中のAGEs濃度が常に高いのですが、今回の研究結果は糖尿病の有無にかかわらず同じであったことから、AGEsが脳に影響を与える経路は必ずしも全身の代謝異常が必要ではないことが示唆されました。
糖尿病を含む心血管系の危険因子や疾患、BMIを調整してもdAGEと認知機能低下の関連は変わらなかったことから、今回の結果はこの可能性をさらに支持しており、必ずしも糖尿病の方だけがdAGEsの影響を受けるのではなく、誰しもが、そのリスクを持っている、ということです。
これに関連した発表がアメリカから出されており、「食事性AGEsの摂取は成人糖尿病患者の全死亡との有意な関連は認められない」ということでした。
Is dietary intake of advanced glycation end products associated with mortality among adults with diabetes?
Nutr Metab Cardiovasc Dis. 2022 Feb 20;S0939-4753(22)00087-4.
糖尿病を持つ成人5474人を対象とし調査を実施したところ、dAGEsの摂取は全死因死亡率と有意に関連しなかったことが明らかになっています。
またAGEは歯周病を悪化させることもわかっており、dAGEsは死亡率とは直接関連していないけれども、歯周病や認知機能とは密接に関連しており、日ごろから揚げ物や焼きすぎたものを食べ過ぎないように心がけたいものです。
先週ピックアップした論文はこちら👇
◆2022年 4月8日 【歯科】
【横断研究】非外科的歯周治療単独と最適化された食事療法を併用した場合、歯周治療単独後よりも効果があった
◆2022年 4月7日 【腸機能】
【RCT】アントシアニンを豊富に含むカシスエキスは、消化管バリア透過性を維持し、腸細胞の損傷を軽減する
◆2022年 4月6日 【メタボリックシンドローム】
【メタ解析】血清ビタミンD濃度は、成人における高血圧のリスクと用量反応的に逆相関している
◆2022年 4月5日 【妊婦・産後】
【横断研究】母親の血清ビタミンB12とフェリチンの状態を最適にするためには、食事性タンパク質の摂取が重要である
◆2022年 4月4日 【新型コロナウイルス】
【縦断研究】COVID-19のパンデミック時にMAFLDの新規診断が増加した
桜が満開になったと思ったら、なんと昨日の京都は28℃🥵
すっかり初夏です💦
陽気に誘われ、人の流れも増えてきていますが、うがい、手洗い、黙食はキープして、この時代にあった生活を送りながら、なんでも抑えるのではなく、楽しい時間をうまく作っていきたいものです。
ビール🍺がおいしい季節ですが、あまり揚げ物や焼き物ばかりを食べ過ぎないようにしてください!