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【読書感想】木 幸田文

「木をみても大きい、花をみてもきれいとしか言わない。そんな娘がしみじみと花をみつめ、芽をいとおしむ気をもったことに私はほっとした。」

明治の文豪幸田露伴の娘である文(あや)。彼女も父とおなじように文才に恵まれた。そんな文がのこした、自然にまつわるエッセイをまとめたのが本書だ。

彼女は北海道のえぞ松、屋久島の縄文杉。さらに大井川のがけ崩れや桜島の噴火を観るために日本中をかけまわった。おそらく彼女のなかには自然がもつ神秘さやふしぎさに感動する感性がどっしりと居座っていたのだろう。

ふしぎなのは、わたしが最近読んだ本の著者がみんなおなじような感性をもっていることだ。たとえば「センス・オブ・ワンダー」のレイチェル・カーソン。「イヤシノウタ」の吉本ばなな。彼女たちも自然がもつ神秘さに魅了され、敬意をはらっていた。

そしてそんな彼女たちの感性にふれ、弱りつつあった自然への敬意を取り戻せた気がする。

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