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【3冊感想】育った地域で食の好みが変わる不思議【読書】
一冊のみ読んだ感想文というよりは何冊か読む中で各本の共通している部分を抜き出して書いた感想文となります。
地域によってそこで生まれ育つ人の味覚、精神、文化、得意なものなどの性質が変わるというお話です。
魚ビジネス
先日の感想文では触れなかった内容になります。
本の中で日本の東西で人々の魚の好みの違いについて書かれている箇所があります。
東日本では少し時間が経ち熟成が進んだ旨みや脂が出てきた魚が好まれて、西日本では獲れたてに近い鮮度抜群な身の締まった食感の良い魚好まれる傾向があるのだそうです。
そして、その理由が地形にあるとのことです。
著者曰く、陸続きの部分が多く大きな漁港が太平洋側に集中しているので、太平洋で大量に獲った後広範囲に流通させることが多くなり、海から内陸部のあちこちに魚が行き渡るまでにどうしても時間がかかり魚が熟成されるということらしいです。
それがそのまま東日本で慣れ親しんだ魚の味となったとか。
逆に西日本では瀬戸内海があり、大きな漁港が太平洋側と日本海側の両方にあるし、魚が届くまでに時間がかからない地域が多いといえるそうです。
鮮度の良い魚が流通しやすい環境が揃っていますよね。
今では流通が発達したので昔より場所を問わず新鮮な魚が届きやすくなったでしょうけど、昔から引き継がれてきた好みは今もあるのではないでしょうか。
地形によって食の好みが変わってくるというのは面白いですよね。
日本史の謎は「地形」で解ける
【文明・文化篇】
日本人は細工することと縮めることが、本当に好きだ。
ユーラシア大陸から入ってきた丸い団扇を、いつの間にか扇子に縮めてしまった。
そして、それを、世界に逆輸出してしまった。
大正年代、西洋から入ってきた長い傘を、小型の短い折り畳みの傘にした。
世界最小のオートバイクも作ってしまい、室内のステレオを、歩きながら聞けるウォークマンに縮小してしまった。
小型化が得意になった背景にはやはり地形が関係しているのだそうです。
日本列島の地形は山や川や海峡や湿地帯などが多く、大陸と違い動物に乗って移動できる範囲が少ないので自分の脚で長距離を歩くことになってしまうから、そうすると自分自身で荷物を担いで移動することになりますよね。
重い荷物を背負って長距離移動はつらいので、必然的に荷物を小さく軽くしていく工夫をするようになったというわけです。
車や電車などの交通が発達した現代でも得意技の小型化が受け継がれているのですね。
昔の人はとんでもない距離を自分で歩いていたの、今考えるとすごいですよね。
少し脱線しますが、私はコカ・コーラのアプリ【Coke ON】で歩数が分かるようになっていまして、通勤で1日大体6千歩前後歩いていて、1万歩くらいになると疲れたー!となります。
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ご覧ください!
これは熱海に行った週の合計歩数です。
自宅に帰った時点で49,989歩で惜しかったので、家の中をウロウロして5万歩にしました!
だから何って感じですが、ただの自己満足です。
ちなみに、ChatGPTに江戸時代の町人の歩数がどのくらいだったかたずねたところ以下の回答がもらえましたので共有します。
江戸時代の町人が1日に歩いていた歩数は正確な記録が少ないものの、いくつかの推定があります。江戸の町は徒歩が基本であり、生活圏が狭かったことから、現代人よりも多く歩いていたと考えられています。具体的には、1日平均で1万歩から2万歩程度という説が有力です。
歩数の根拠
• 商人や職人は商品を運ぶために町中を頻繁に歩き回り、歩数が多かったと推測されます。
• 買い物や水汲み、銭湯通いも日常的な活動で、歩く距離は自然に増えました。
• 旅行や参詣が盛んだったこともあり、長 距離を歩く習慣がありました。例えば、東海道五十三次を徒歩で旅するのが一般的で、1日30~40km(約4~5万歩相当)歩くこともありました。
1日5万歩とは凄まじいですね!
脚が棒になること必至です。
生き心地の良い町 この自殺率の低さには理由(わけ)がある
自殺率の低い町を調査してその理由を探るという本で、とても興味深い内容でした。
自殺率や人の精神性にもやはり地形が絡んでいるということです。
険しい山間部で人の家と家が離れているような地域では、昔は急病人や怪我人などが出ても助けを呼ぶのも大変で間に合わないことも多かったそうです。
だからそういう地域に住んでいる人は、何かあったときにはもう助からない…と覚悟を決めるようになっていったと。
それがその他諸々の条件と重なり自己効力感やメンタルヘルスや自殺率にまで影響を及ぼすということです。
反対に、なだらかな丘のような場所にたくさんの人が密集して暮らしている地域だと、何かあったときにすぐ助けを呼べるので、先述の地域とは全然違う精神性となり、他の条件と重なり自己効力感を感じられるとメンタルヘルスに良い影響があるようです。
厳密には少し違いますが、掻い摘んでかなりざっくり言うとそういう側面があるようです。
険しい山に住むことが決して悪いことではない、その地域に生まれ暮らす上で覚悟を決めたり諦めの精神を持つことは生きるための知恵でもあり、尊重することが大切ということを著者が言っていました。
調査して色々な発見をしつつも、その地域に住む人を尊重する著者の姿勢が素敵でした。
まとめ
それぞれの本を読んで、地形が如何に人の性質をつくり、それが代々その地に生きる人に受け継がれ、今も影響が色濃く残っているかということを考えさせられました。
住む場所って大切ですよね。
次に引越しをするときにはこういったことも考えて住む場所を考えてみるのも良いのかなとも思いました。