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"ミステリという所詮はつくりものに過ぎない鋳物" 小西マサテル著『名探偵のままでいて』


第21回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作小西マサテル著『名探偵のままでいて』を読了しました。

安楽椅子探偵』といえば、アガサ・クリスティの『ミス・マープル』シリーズ(実際はミス・マープルは安楽椅子探偵ではないらしい)や、J・ディーヴァーの『リンカーン・ライム』シリーズが有名ですが、本作もいわゆる安楽椅子探偵ものです。

本作の主人公・かえでの祖父(作中に名前が記されていない)は、『レビー小体型認知症』を患っていて外出がままなりませんが、元来の頭脳明晰さで楓の持ち込んだ謎を解き明かしていきます。

また症状である『幻視』によって、「楓。煙草を一本くれないか」と紫煙をくゆらせた時、あたかも事件現場に遭遇したかのように『"絵"』を見ることができる能力があるのです。

『レビー小体型認知症』の名探偵という、安楽椅子探偵を現代社会に定着させる作者のアイデアは脱帽ものと感じました。ちなみにこの小説の名探偵のモデルは著者のお父さんだそうです。

たびたび実在する著者や著書の名前が登場し、古典ミステリのオマージュであったりと、著者のミステリ愛が垣間見えるものの、私自身が古典ミステリを読んでこなかったので、『あー、あれね』なんてことにならないまま、読み進めていきました。

本作は全6章からなる連作短編集なのですが、主人公が事件に巻き込まれる第5章から物語が盛り上がってくる感じで、スロースターター気味です。書評を書くために最後まで読み続けたので、もしそうでなければ途中で読むのを止めていたかもしれません。

もう少し最初から盛り上がるイベントがあっても良かったのではないでしょうか。

また、著者の「前に、ヒント記述がありましたよね?」感や、物語の作り物感が合わない感じもして、何だこのモヤモヤ感はと思っていたら、本作の主要人物である四季しきが、

ミステリという所詮はつくりものに過ぎない鋳物

小西マサテル著『名探偵のままでいて』53頁

と翻訳もののクラシカルな本格ミステリを評価している場面が出てきて、妙に納得してしまいました(ただし、四季は本格ミステリは嫌いではないらしい)。

そういえば私は、

登場人物の名前がなにしろ覚えにくい

小西マサテル著『名探偵のままでいて』53頁

という理由で、『ボーン・コレクター』をリンカーン・ライムが捜査に乗り出してから最初に遺体を発見した時点で、読むのを挫折したことを思い出しました。

私は幼少期、子供ながらに爺むさい好みだと思いながら、『火曜サスペンス劇場』や

土曜ワイド劇場』を

視聴していたので、自分はミステリ好きだと思っていたのですが、ひょっとしたら勘違いだったのでしょうか。

それとも小学生の頃に読んだ『マガーク少年探偵団』で止まってしまったのでしょうか。

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何か新しいことに挑戦したいと思い、生まれて初めてKindle出版をしたのですが、全く読まれていません。
『アイコラの作り方』という、本好きの方にとっては絶対見たくない内容だとは思いますが、宜しくお願い致します。

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