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【映画鑑賞】『ラストマイル』観ました。

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頭の中を「がらくた」がリピートしている、黒木りりあです。

先日、ようやく映画『ラストマイル』を劇場で鑑賞することができました。本当は公開初日に行く気満々だったのですが、諸事情によりそれがかなわなくなり、公開から約2週間経っての鑑賞でした。
映画の制作が発表されてから、ずっと指折り数えて待っていた待望の作品。大きなスクリーンでの念願の鑑賞は、もう大満足の一言に尽きます。幸運なことにパンフレットも購入できたので、まだまだ『ラストマイル』の世界に浸っております。
そんな『ラストマイル』について、大ヒット作品なので既に多くの人が語っていらっしゃいますが、私からも改めて、どのような作品なのか、何を感じたかなど、語らせていただきます。よろしければお付き合いください。


映画『ラストマイル』とは?

映画『ラストマイル』は、2024年夏に公開された日本の映画作品です。ヒット作を多く手掛けている脚本家・野木亜紀子さんによる完全オリジナル脚本作品で、塚原あゆ子さんが監督、 新井順子さんが製作を務めています。

この3人の女性たちの名前を聞くと、テレビドラマ『アンナチュラル』、『MIU404』を思い浮かべる方々も少なくないでしょう。この映画『ラストマイル』は『アンナチュラル』、『MIU404』と世界線を共有する「シェアード・ユニバース・ムービー」として作られています。さらに、主題歌を担当するのは、『アンナチュラル』、『MIU404』から引き続き、米津玄師さんが担当しており、まさに最強の布陣といえるでしょう。

出演する役者陣も、とても豪華です。主人公の舟渡エレナ役を満島ひかりさんが、そして梨本孔役を岡田将生さんが演じています。二人とも数多くの素晴らしい作品で功績を残しており、何を代表作と紹介すれば良いのかも分からないほどです。満島さんと岡田さんは2010年公開の映画『悪人』以来の共演となるようです。

映画『ラストマイル』あらすじ

ブラックフライデーの前日、アパートの一室で爆発事件が発生する。爆発が発生したのは、宅配便で荷物が配送された直後だった。

ブラックフライデー当日、アメリカ発の世界最大ショッピングサイトDAILY FASTの西武蔵野ロジスティクスセンターに、新しいセンター長として舟渡エレナがやってくる。彼女は数日前に急遽、福岡から異動が決まったらしい。エレナを迎えたのは、部下となるチームマネージャーの梨本孔。ここで働き始めて2年になるという。
エレナが新しい勤務地の状況を把握しようとしている折、前日に発生した爆発事件の際に届けられた荷物は、DAILY FASTの西武蔵野ロジスティクスセンターから発送されたものだということが判明する。さらに、同じく西武蔵野ロジスティクスセンターから発送された荷物が爆発し、事態は謎の連続爆破事件へと発展していく。

決して止めることのできな、現代社会の生命線ともいえる物流を止めるわけにはいかない。この緊急事態をエレナは必死に収拾させようと走り回り、孔もサポートにあたろうとはするが……。

求めているものは、一体何?

映画の中でもキーワードとなっていた「What do you want?」の問いかけ。これに私が今答えるならば「ラストマイルのシナリオ本」と言うでしょう。そう思えるぐらい、あらゆるものが張り巡らされた映画でした。さすが、野木脚本。追いマイルする気持ちも、よく分かります。
本作は大人気ドラマ『アンナチュラル』、『MIU404』と世界線を共有する「シェアード・ユニバース・ムービー」。そのため、宣伝でもこのことが強調されていましたが、「思っていたよりもドラマのメンバーが出てこなかった」という意見を聞いて、少し驚きました。私の感覚では、むしろ「思っていたよりもドラマのメンバーの活躍が多い!」だったので。この世界観に次に広がるのはどこかしら?なんてついつい考えてしまいますよね。
本作を「アベンジャーズ」と形容する宣伝に対して、「アベンジャーズほどドラマのキャラクターが登場しない」という意見もありましたが、「アベンジャーズ」という形容も妥当だな、と個人的には感じています。「シェアード・ユニバース」という言葉はもともとアメコミ界で定義された言葉だし、この定義以降に実写映画においてこの「シェアード・ユニバース」構想を成功させたのは「アベンジャーズ」シリーズをけん引するMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)なわけだし。本作はテレビドラマから劇場映画に、という矢印ですが、MCUは反対に、劇場映画からテレビドラマに、というやり方も成功させています。矢印の向きは真逆ですが、劇場公開作品とテレビ放送作品をクロスオーバーさせて展開していくというビジネスモデルとしては近いものがあるので、MCU好きな私としてはとても受け入れやすい世界の広げ方でした。
「シェアード・ユニバース」構想は私のすごく好きな手法です。単なる一時的なコラボレーションや同じオリジンを持つ枝分かれの物語とは異なって、独立した物語の登場人物の影を他の作品で感じ、そのキャラクターが存在していることを実感できるからです。そうやって大好きなキャラクターの存在を感じながら、新しいキャラクターの全く異なる新たな物語を知ることができる。これが可能なこの「シェアード・ユニバース」構想で楽しめる作品がまた生み出されることを密かに期待しています。『アンナチュラル』、『MIU404』、『ラストマイル』と同じ世界線の新作にも、出会いた気持ちが大きいですが。また会いたいキャラクターが、増えたので。

私たちが託された荷物

映画『ラストマイル』で扱われた題材の一つが「2024年問題」です。最初に『ラストマイル』の制作を知った時、私はつい「どうして夏に公開される映画でブラックフライデー?季節感が、ズレてない?」と思ってしまいました。巨大ショッピングサービスや巨大物流倉庫、荷物が連続爆破事件につながる、といったキーワードから、ショッピングサービスの運営会社側と荷物を受け取るカスタマー側のことしか、考えられていなかったんですよね、思い返せば。浅はかでした。タイトルの「ラストマイル」という言葉が意味することも、知りませんでした。
ショッピングサイトで買い物をするとき、顧客が売買契約を結ぶのはあくまでもショッピングサイトの運営会社であって、実際に届けてくださる配達員の方と直接何らかの契約を交わしたりはしません。配達のやり取りをしたり、顔を合わせたりする一番大事なはずの人たちが、この映画について初めて考えた時、抜けてしまっていた。映画を実際に見て、というか予告編が出たときに、それをガーンと突き付けられた気がしました。「だから2024年に公開するんじゃない。だから、秋冬になる前に公開するんじゃない」と映画に言われた気がしました。

『ラストマイル』は決してハッピーなだけの作品ではありません。作品自体に余白がたくさんあって、まさに映画自体がラストマイル=配達の最終区間。映画を通して受け取った荷物を、私たち観客はどう考えて、どう受け止めて、どう理解して、どう行動していくのか。まずは映画公開からブラックフライデーまでの約3か月間で、私たちはこれをどう社会に反映していくのか、を問いかけられているような気がします。
描かれているのは、問いかけられているのは物流や配送の問題だけではありません。社会の仕組み、社会の歯車、人間の営み、そういったさまざまな物事に対して、問いかけられていると感じました。すぐに答えが出るような簡単な問題じゃありません。何もできないかもしれない。何かしても、何も変わらないかもしれない。でも、何もしようとしないのが正解じゃないことだけは、確かです。
ありきたりではありますが、まずは自分ができる小さなことから始めてみるしかありません。自分の普段のネットショッピングの使い方を見直してみるとか、配送の方にきちんと感謝を伝えられているか、とか。社会は人間が歯車のように働いて成り立っているけれども、人間は機会でも歯車でもなく人間だから。だから、人間を人間だと思って、人間として接していきたい。そんな当たり前の大切さについて、改めて感じさせられました。
この作品を観賞した人々が起こすであろう小さな行動の変化が連鎖して、大きな変化になっていき、社会が少しでも良い方向に動けばよいな、と心から願っています。

映画『ラストマイル』は2024年8月23日より、日本全国の映画館で公開中です。日本の現代社会を生きる私たちに、必要な作品だと思っています。一人でも多くの方がこの作品に触れられますように。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
また機会がございましたら、他の記事にも足を運んでいただけますと幸いです。


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