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『週刊英語史』 創刊号特集記事「古英語LINEスタンプ制作の内幕」

この度『週刊英語史』を創刊しました(虚構)。創刊号の特集記事は古英語LINEスタンプの制作過程を約半年間にわたり極秘に取材したルポです。プライバシーに配慮し、関係者の名前はイニシャルで記載しています。

『週刊英語史 創刊号』 表紙を飾るのはウィネウルフくん

前代未聞の古英語LINEスタンプ

2024年9月8日、英語史界に激震が走った。古英語LINEスタンプが発売されたのだ。このスタンプを画策した中心人物は、業界ではその名を知らない者はいないという英語史研究者H教授だ。「英語史をお茶の間に」というモットーを掲げる急進派として、近年はアカデミアの外の世界でも着実に知名度が上がっている。

発端

古英語LINEスタンプ企画の発端となったのは、H教授が音声配信プラットフォームvoicyで運営するチャンネル「英語の語源が身に付くラジオ(heldio)」のプレミアムリスナー向け配信「英語史の輪(helwa)」だ。「英語史の輪 #109」(2024年3月21日配信)の中で、2024年度に行いたい企画を募ったところ、ある一人のリスナーから寄せられたアイデアが古英語スタンプ制作だった。

沈黙の3か月

間もなくこのアイデアがH教授とその取り巻きの研究者たちの関心を惹き、実現の気運が高まりを見せたのも束の間、暫くは忘れ去られたかのように凪が続いた。

三田での極秘会合

状況に変化が見られたのは発案から3か月ほど経った頃だった。6月29日に三田でH教授が事務局を務める研究会が開催された。研究会後の宴席で、H教授と古英語研究者O氏によって極秘にプロジェクト推進についての話し合いが行われた。会合場所として三田が選ばれたのは、虎ノ門や赤坂よりもサラリーマン行きつけの居酒屋が多く、研究者が悪目立ちしないという思惑からだろう。

派閥を超えた人事

前例を見ない今回のプロジェクトはH教授の旗振りで進められたが、特筆すべきはその人事だ。プロジェクト・マネージャーとして先出のO氏が任命された。O氏は元々H教授とは別の一門である。しかし、幾度となくheldioに出演するO氏は、H教授と昵懇の仲であることが窺われることから、「今回の古英語LINEスタンプ制作メンバーへの起用は規定路線だ」(関係筋)という。

参謀F氏

もう一人、古英語の監修役としてプロジェクトのメンバーに抜擢されたのが、H教授の門下生であるF氏だ。同氏は比較言語学を専門としている。また、heldioの「英語語源辞典を読む」の配信回ではH教授を参謀役として支える実力者でもある。

民間人材の登用

プロジェクトチームの頭を悩ませていたのが、古英語スタンプのイラストレーター不在問題だ。H教授の一門からこのポストへの立候補がなかった。そこで、H教授はhelwaリスナーからの公募に踏み切る形となった。この民間からの挙手制によりチームメンバーに加わったのがリスナーのM氏だ。本業はイラストレーターではないものの、確かな腕前の持ち主だ。

発案者の参与

古英語LINEスタンプの発案者もプロジェクトチームに加わる形となった。発案者とは、他でもない筆者(L)である。古英語の専門知識は全くなく、イラストも描けない素人だが、有無を言わせず制作メンバーに入れられていた。

(次号につづく)

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