見出し画像

ここ3年ほどかけて精神的に体調を崩したので、何があったのか当事者目線で整理してみる(休職~回復編)


前回までのあらすじ

前回の記事で学生時代~休職に至るまでを整理しました。今回は休職してから、現在までを整理してみます。

前回はこちら。

休職~現在までを振り返る

現在休職から7ヶ月程度なので、そこまでを振り返ります。

休職1ヶ月目

5月半ばに休職して、一度実家に帰りました。

休んで2週間くらいは、「やっと仕事から開放された、もう治る」と思っていました。何もしないと焦燥感や不安感がひどいので、日中はゲームなどをし、普通に生活していました。帰って最初に、「母に思ったより元気そうで良かった」と言われましたが、自分でも「自分は思っているより元気だ」と思っていました。

また、会社から言われた休職手続きなどをこなしていると、すぐ2週間ほど過ぎました。2週間ほどしても、睡眠がうまくいかず中途覚醒する、頭重感がひどいなどの症状は落ち着きませんでした。また働いているときと変わらないしんどさを感じるので、ようやく「休めてない」ということに気づきました。

まず休むモードに入る必要があると感じたので、6月に入ってからは、日中も基本しんどいときには寝るようにし、気分転換のゲームの時間は一日2h程度に制限するようにしました。ゲームをすることで、十分に頭が休まらなくなっていると感じたためです。

結局、一ヶ月目の生活は、

  1. 朝9~11時くらいに起きる(時間は安定しない)

  2. 日中は、元気があればゲームをする、しんどければ寝る(実際ほとんど寝てた)

  3. 夜は睡眠薬を飲んで寝る

といった感じでした。

休職2ヶ月目

2ヶ月目は休職1ヶ月目後半とほとんど同じ生活をしていました。

まだ体調が戻っている感じはなく、焦燥感・不安感や頭重感、腹痛など休む前の症状が出ていました。なにかを考える余裕はないので、復職についてなどは一旦考えず、とにかく休むようにしました。

この頃は、散歩とゲームくらいしかできなかったので、手を持て余したときはゲームをして過ごしていました。もちろん頭を休める必要はあるのですが、「一日何もせず、椅子に座ってぼーっとする」というような生活はかえってしんどく感じたため、時間制限を設けてゲームをしていました。

思い返すと、この頃が一番しんどかったように思います。しっかり休み始めたのに症状が収まらないため、自分でも理由がわからず体調を崩しているような感覚でした。「いつ復職するのか」とか「早く回復しなければ」といった感情がたまに思い浮かんでは考えに取り憑かれるときもあり、頭の切り替えもなかなかできませんでした。ひたすら、「これは今は考えるときでない。とにかく休もう。」と念じているような感じでした。

この頃に一度、休み中に遊びに誘ってくれた友達と軽い旅行に行きましたが、この頃はまだしんどさが勝っていた感じがありました。

休職3ヶ月目

1,2ヶ月目よりも体調が安定してきました。昼、何もせずに起きておくことは可能になってきました。プログラミングなど複雑な作業はしんどいですが、午前中の間は何もせずぼーっとできる日が増えました。寝なければしんどくて座っておくこともできない、といった状態は減ってきました。一方で、頭重感や焦燥感はまだ残っているし、睡眠などは安定しておらず、休養感のある睡眠は取れていませんでした。身体症状・精神症状はまだまだ残っているな、という感覚でした。

この頃から、少し活動できるかもしれない、という感覚があったので、認知行動療法を取り入れつつ、少しずつ問題解決に向けた活動の練習を始めました。具体的には、

  1. カレンダーで明日の予定を立てる

  2. 一日の振り返りの目的で日記を書き、予定を実行できたか振り返る

  3. 問題リストを作って、解決する問題の把握・優先順位付けを行う

  4. 実際に解決に向けて取り組んでみる

  5. 1週間毎に、まとまった振り返りをする

などをしました。

日記と振り返りは以下のようなメリットがあったと思います。

  1. 日記の時間が、一日のうちで自分の状態を客観的に見てみる機会になること

  2. 一週間単位で生活を振り返ることで、今の問題を整理できること

  3. 後から2~3ヶ月して振り返るとき(例えば今など)に、自分の心身がどのような状態だったのかを推測する手がかりになること

健康なときであっても、自分の状態を客観的に理解するのは難しいです。

病気中は特に、病気による体調の悪さによるしんどさ & そうなるに至ったほどの大きな未解決の問題、が存在するので、より困難になります。

日記を習慣にしたことで、「これは今取り組む必要があるな」とか、「こう思っていたけど、これは勘違いだったな」など、自分の様子を別視点で見る機会が作りやすいので良かったと思います。

問題解決は、「復職するかどうかの判断をあと3ヶ月でする」と設定してはじめました。他にも、私生活で仕事とは関係ない別の問題が起きており、そちらによるストレスもあったのですが、一旦解決する課題を定めたことで、気分的に少し楽になったなと思います。

休み始めた当初、「休職して半年くらいのうちに復職する必要がある」と考えていたため、ここでは復職するかどうかを具体的に考え始めました。

問題整理には、「ここトレ」というサイトを使いました。認知行動療法に自分でも取り組めるサイトで、問題設定の仕方や、その際の障害まで丁寧にレクチャーしてくれるため、非常に助けになりました。

ちょうどこの月に、ここトレの監修者をされている大野裕先生の「はじめての認知療法」を参考にしながら、振り返りをスケジューリングしていたこともあり、利用する形にしました。

この頃は、少し本を読んだり、以前のような活動もできる時間が増えたことで、少しずつ体調回復に向けて動き出せる日が増えてきたように思います。

休職4~5ヶ月目

体調が緩やかに回復してきて、それを実感する日も増えてきました。以前好きだった活動が少しずつ楽しめるようになってきました。散歩に加えて、温泉に行く、コーヒーを淹れる、対戦ゲームをする、自転車を漕いでみる、プログラムを書いてみる、といったことが少しずつできるようになってきました。

一方、これらの活動をしようと意気込みすぎて体調を崩す日・週もあり、一進一退という感じでもありました。基本的に休むことをメインにしつつ、可能な範囲でこれらの活動もしてみる、という生活をしました。相変わらず睡眠が不安定、呼吸が浅い、腹痛、頭重感といった症状はありましたが、程度が軽くなってきました。体感の体調では回復傾向を感じれるようになってきたこともあり、だいぶ精神的にも体調的にも楽になってきた時期でした。

基本的に3ヶ月目までと同様に、日記・振り返りをしながら、少しずつ問題を整理しました。

色々自分なりに整理・検討した結果、幸運にも復職するかどうか、相談できそうな上司(Aさんとしておきます)がいたため、「まずAさんに相談してみて、対応策を練る」ことにし、上司への相談日程や、何を話すかなどを整理し、連絡・決定しました。

問題整理をする過程で、当初考えていた以外の問題も浮上してきました。例えば、「自分のできると思った作業量と、実際にできる作業量に乖離があること」や、「復職のことを考える気力がそもそも起きない」「検討していると、体調の崩れる日が増えた」などです。

このような問題は、想像以上に多くある & 取り組む前に想定できるものではなかったので、「日記で記録して発見し、振り返りの中で調節する」という仕組みが役に立ちました。

休職6ヶ月目

体調は依然安定はしていませんでしたが、ゆるめに計画した活動を週に3,4日程度無理なく行うことが可能になってきました。

そこでAさんに相談し、復職するかどうか、復職した場合どういう選択肢があるか、復職しない場合どういう選択肢があるか、などを話しました。

そこで、体調がまだ万全でないと感じていることを話すと、「使えるところまで休みを使って、その中で少しずつ他の仕事の可能性も検討してみる」というやり方を提案してもらいました。これにより、「半年で復帰しなければ」という意識が少し弱まり、「もう少しゆっくり時間を使って考えてもよいか」と考えるようになりました。

自分の実感としても、少なくとも今すぐ復職して仕事をするのはまだ大変だと感じていましたし、それをしても続かなそうとも感じているので、ここから半年くらいを使ってゆったりと職の検討をすることにしました。

また、この頃はある程度人と話したり遊んだりすることができるようになってきたので、友達と遊んだりする日もありました。

休職7ヶ月目(現在)

一週間のうち、半分くらいは6~8h程度活動できる(プログラムを書く、note記事を書く、本を読む、etc…)ようになっています。しかし、作業効率などは健康なときほど回復していないです。また、作業していると気分が悪くなる、一時的に2,3h体調が悪いなと感じる・身体症状がある、睡眠が安定せず、休養感がないときがある、という症状は残っています。また、週に一回程度は何も考える気が起きないし、頭も働かない日があります。そういう日は、無理せず休むようにしています。

現在は、まだ体調回復が一番の課題だと感じているので、「あまり以前のように作業をしようと思いすぎず、淡々とリハビリ & 問題整理をする」ことを目標にしています。その活動の一環として、この2回のnote記事を書いてみました。

ここ半年間の回復過程でぶつかった主な問題

ここからは、上で述べた期間に起きた問題の中で、自分が大変だなと感じたものを挙げてみます。うつ病になったときに陥る問題、症状として一般的に言われているものがほとんどだと思います。個人差も大きい部分だと思うので、当事者目線でどう感じたかという感想です。

自分の体調が悪いことに気づかない

休み始めた初期です。自分の体調が悪くて休んだはずなのですが、すぐに休むモードには切り替わりませんでした。「仕事していた時間は活動できるはず」というような思い込みもあり、最初は一日6,7hくらいゲームをしていた気がします。

休み始めた最初は、自分の体調が悪いことにまず気付けない場合があるのだなと感じました。休みに入ったことを頭が認識していないような感じです。これも病気の症状なのだと思います。

しばらく休むうちに、体調が悪いので自然とゲームを辞めて休むようになりました。

体調の回復が遅いことにより、不安になる

少なくとも僕の場合、脳に溜まった疲れは年単位のものであるという自覚があるので、当然ですが1日寝た程度では治りませんでした。1,2ヶ月ほぼ何もせず安静にしていて、ようやく少し回復したかな?と実感できるかどうか、実感したとしてもちょっと、という程度でした。休み始めて3ヶ月ほどして、ようやく「回復してきたぞ」と思えるくらいになりました。

インターネットを見ていると、3ヶ月程度で回復して復職した人の情報なども出てくるので、比較して不安になることもありました。

ただ、回復の早さはその人の病気の程度や環境によるので、「自分はこのくらいかかるんだな」と理解してからは、それほど気にならなくなりました。

焦燥感に苛まれる

病気の症状だと思うのですが、特に休み始めた初期は、常に焦燥感がしていました。「なにかをしなければならない」という気持ちが強くなり、ぼんやりすること自体が難しかったです。3,4ヶ月の時間が経過するにつれて徐々に和らいでいきました。最初の1~2ヶ月くらいは基本寝て、少し活動できる日があれば「2hまで」と決めてなにかする、というような形で、少しずつ体を慣らしていくと、徐々に「あ、多少活動できるな」という実感を得られて、和らいでいったと思います。

体調の変動が予測できない

当日になるまでその日の体調が予測できません。前日に組んだ予定が一つもこなせないことも多くあり、それにより自分を責めてしまい悪循環に陥るときがありました。

「これは病気の症状なのだな」と理解することで、予定ができなくなることをある程度受け入れて、「この日は休もう」と割り切れるようになる日が増えました。

こちらの漫画でも、日内変動として紹介されています。カジュアルにうつ病の色々な症状を知れる良い漫画なのでおすすめです。

自分が何をしているのか周囲に理解されづらい

休んでいる間、自分が何に苦しんでいて、何をしようとしているのか、周囲の人に理解されづらいです。僕の場合、実家に帰って治療を行っていますが、「家族には元気そうに見えるが自分の体感としては体調が悪い」という日が山のようにありました。

自分の実感としては、「とにかくしんどいので今すぐにでも解放してほしい」くらいのしんどさなのですが、他の一般的な身体症状を伴う病気と違って、脳の病気であるため、周りからみてあまり症状のほどがわかりません。また、「これほどしんどいのに、どうしてわかってもらえないんだ」という苦しみも感じました。

「上記のような漫画を買って家族に読んでもらう」「しんどいときは素直にしんどいという」といった、自分の状態を伝える工夫をすることで、完全にではないですが、少しずつわかってもらえない苦しみは和らいだと思います。また、家族の理解があり、「ゆっくり休んでいいよ」と言ってもらえていたこともありがたかったです。

ある程度体調が悪い中で問題解決していく必要がある

休んで3ヶ月ほどした状態で、体調はあまり良くない(あくまで健康時との比較で、最初の1,2ヶ月よりは回復している)のですが、問題を整理していく必要がありました。

職をどうするかについて考えるのは、健康時でも難しい問題であるのに、体調が万全でない中、少しトラウマ的な感覚もある上でこの作業をしていくのは、心理的な負担が大きかったです。

ただ、長期的に見ると回復のために重要だったなと感じています。少しずつ可能な範囲で問題に取り組むのは、自分の自信を回復させることにも繋がり、不必要に疲れを貯めないような精神状態に少しずつ戻していくのに役立ったと感じます。

回復の過程で役に立ったと思うもの

ここでは、回復していく中で役立ったと思うものをまとめておきます。人によって合う/合わないがあると思いますが、なにか他の人にも役立つ情報があるかもしれません。

大野裕先生の書籍・ここトレ

上でも紹介しましたが、認知行動療法を実践してみる上で非常に役に立ちました。しんどいときでも読みやすい文体で、患者さんに寄り添って治療してくださろうという気持ちも伝わり、しんどいときの支えになりました。

(リンクは上で貼ったので割愛)

益田祐介先生のYoutubeチャンネル

精神科医Youtuberの益田先生のYoutube動画を学習に利用していました。登録者が多い方なのでご存知の人も多いかもしれません。

非常に大量のコンテンツを継続的にアップしてくださるのが特徴で、初学者にもわかりやすく体系的に精神医学の知識を得ることができ、非常に助けられています。

休職前の体調が悪い時期から見ていたので、かなり長い期間お世話になっています。臨床的な視点で、患者さんが見やすい形に動画を作ってくれているのが個人的にありがたいです。「専門書だと専門的すぎるし、患者としての僕が得たい知識とは少し離れていると感じる。もう少しライトな知識がほしい」という僕の中のニーズにマッチしています。

todoist

todoを管理するwebアプリです。スマホ版も提供されています。

一日の予定をgoogle calenderで計画して登録していたのですが、達成できなかったときの延期や、プロジェクト単位での管理、サブタスク化など、問題整理が複雑になってくると、できないことが多かったため、こちらに移りました。

無料版でほぼ不自由なくタスクが整理でき、1日/1週間単位でスケジュールを組む上で非常に役に立っています。

daylio

気分とともに活動ログが取れるスマホアプリです。

一日の記録を適当なメモアプリなどでつけていたのですが、面倒でなかなか続かない & 何をしていたかと同時に気分の記録もしたい & いつでも記録しやすいようにスマホから記録したい、という問題があり、それらを解決してくれるので使っています。

気分が記録できるので、自分の気分変化の傾向に気づくことができます。そのおかげで、体調が良くない日があっても、「寝れば翌日には大体良くなってるな」のように、自分の気持ちを立て直しやすくなったのが良かったと思います。

また、活動と一緒に気分も記録できるため、「これをするとしんどいと感じている」といったこともわかりやすく、「これ以上のゲームは嫌な気分になっているので辞めよう」、といった合理的な判断をしやすくなりました。

1クリックで気分と活動が登録できるというのが売りで、UIも可愛らしく、気に入っています。

月額/年額のサブスクと買い切り版が存在していますが、ぼくはハロウィンセールのタイミングで年額買いしました。

家族、会社の先輩・同期や友達の存在

上に、「自分が何をしているのか周囲に理解されづらい」と書きましたが、自分の周囲は理解がある人が多かったように思います。もちろん、自分の苦しみが直接伝わるわけではないのですが、休むことを責めるような人はいませんでしたし、みな「ゆっくり休むといいよ」と言ってくれる人ばかりでした。

自分でも自分を責めてしまう状況にあるときに、周囲の人が肯定的でそばにいてくれるということは、本当に大きな助けになります。否定せず、過度に干渉せず、見守ってくれる周囲の人たちに心から感謝しています。

書いてみての感想

感じていたことを思い出しながらつらつら書いていると、いまいち取り留めがなくなってしまいました。病気中のことは意外と覚えていないものだなと思いました。特に最初の1,2ヶ月目は記録もしていないので、ぼんやりとした記憶です。

回復過程はまだ自分の中でも整理しきれていない部分が多い & まだ回復途中なので、文章を書いて少しでも整理の一助にできたら良いなと思います。

流れで整理してみると、自分でも気づいていなかったことに気づく面もあり、文章にする中で理解が深まる面もあるな、と前回に続いて思いました。今後も、自分のペースで文章をまとめていこうと思います。読書記録やもう少し突っ込んだ問題整理も文章にするかもしれません。

以上です。


いいなと思ったら応援しよう!