音声燻製【毎週ショートショートnote】
小さい頃から自分の性格が大嫌いだった。
人見知りで、引っ込み思案で、素直でない。
友人たちが楽しそうに遊んでいると、仲間に入りたいのに、遠くで見ているだけの女の子だった。
昨日は勝地の誕生日会だった。
勝地はこのクラスのリーダー的な存在だ。
頭が良くユーモアがあり男女共に人気がある。
ただ所構わずオナラをする下品な所だけは不似合いだった。
私も誕生日会に行きたかったがいつものように気後れして欠席した。
今日 私は朝からお腹の調子が悪かった。
3時間目の古典の授業中ついに我慢できずオナラが出てしまった。
「ブリッ!」
大きな音声と燻製のような匂いが立ち始めた。
死にたい位恥ずかしかった。
その時、私の後ろの席の勝地が立ち上がった。
「すまんのー、申し訳有馬温泉!」
頭を掻きながら勝地がそう言うと、誰かが「またお前か」と言い教室中が笑いに包まれた。
救われた。そうか いつもの勝地のオナラの真相は…
ありがとう勝地、来年の誕生日会はきっと行くから。
410文字
この作品はフィクションです。(たぶん)
登場する人物団体は架空のもので、実在するものとは一切関係ありません。
参考記事 エッセイ(七)紹介文 屁負比丘尼
自由律俳句40
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