ピンクレディーの話
高学年の頃、1番の人気はピンクレディーだった。ミーちゃんが好きだとか、ケイちゃんが好きだとか、毎日、言い合っていた。
私は何となくケイちゃんが好きだった。ミーちゃんが嫌いなわけではなかったけど、パッと2人を見た時に目を惹かれるのは、ケイちゃんだった。
ある日、その話が女子の中で白熱を帯びてきて、じゃあ、「どっちがいいか、多数決で決めよう」ということになった。
そんな事で諍いあうのも馬鹿馬鹿しい事だけど、なんだか、みんな、真剣になってしまったのである。
私はことの成り行きをただただ見守っていた。アダルトチルドレンでもある私は、少数派にだけはなりたくないと強く思っていた。自分の本心は二の次。多数派にならなければならないのだ。
みんな口々に、
「ミーちゃんだよね」
「絶対、ケイちゃんに決まってる」と
言っている。その中でも影響力のある女の子が「ミーちゃんだと思うなー」と言ったのを、私は聞き逃さなかった。
そして、多数決。
「ケイちゃんが好きな人ー❗️」
…私は目を疑った。さっき、ミーちゃんがいいと言ってたよね?その彼女が、高々と手を挙げて
「やっぱりケイちゃんよね」と話している。
「ミーちゃんが好きな人ー❗️」
仕方なく手を挙げる私。それも少数派。
ケイちゃん派は、勝ったとばかりにきゃーきゃー言っている。
これが、何かに影響を与えたりすることはなかったけれど、人の言う事を馬鹿正直に信じてしまう自分の悪い癖を思い知った一件だったのは確かである。