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1980年「ザ・カンニング[IQ=0]」


公開 1980年
監督 クロード・ジディ
出演 ダニエル・オートゥイユ フィリップ・タッシーニ マリア・バコム

私のような70年代生まれの人なら、この映画を覚えている人も多いのではないでしょうか。
日曜夜の「ゴールデン洋画劇場」で何度も放送され、当時小学生だった私は見る度に爆笑していました。

大人になってからこの映画がフランス制作だという事を知り驚きました。
フランス人は文化水準が高くお上品という印象があったため、意外にも日本人と笑いのツボが同じだという事に衝撃を受けたのを覚えています。

ルイ14世予備校に通う学生たちが、カンニングを駆使し大学入学資格試験バカロレア合格を目指す…

ベベルを中心とするおバカ学生が、学園内で先生をコケにしまくり悪戯をする前半と、バカロレアに合格するため全員一丸となってカンニングをする後半からなる構成です。

生徒たちが繰り出すイタズラやカンニングは「ドリフ」レベルで小学生でも笑えるのです。

生徒たちがイタズラで仕掛けた爆竹がテロリストの手によって本物の爆弾にすり替えられ、学園は大破、死亡者が出る。
学園側と警察側が司法取引の末、バカロレアに合格すれば無罪放免、落ちれば監獄行きという成り行きに。
背水の陣の生徒たちはバカロレアに合格するためカンニング大作戦を決行する…

彼らのカンニングの手法というのが実にバカバカしく、当時小学生の私ですら「んな、アホな…」と言いたくなるほどなのですが、受験会場を監視する刑事の目は節穴なのか、カンニングにまったく気づかないのです。
靴底に辞書を仕込むなど、とにかく現実ではあり得ないレベルのバカバカしさで、素直に爆笑させられてしまいました。

こんな技を仕込む暇があったら、真面目に勉強しろ!と言うのは野暮というものですね。

カンニング作戦は何故か大成功、全員無事にバカロレアに合格する。

10年後同窓会が開かれ、集まった同級生たちは政治家になったり俳優になったりと、そこそこ成功しているのです。
やはり人間成功するのに必要な要素は勉強だけじゃない、人間力だということでしょうか。

私が一番笑ったのは、唯一カンニングせずに実力で合格した80過ぎのおじいちゃんのクラスメイトが、合格した喜びでショックを受け心臓発作で死んでしまうシーンです。

全編に渡って下ネタやブラックなユーモア満載で、クラスメイトが一丸となってのチームワークも見所ですね。

2017年に「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」が公開された時、真っ先にこの映画を思い出しました。
現代の若者らしくスマホを駆使し集団でカンニングを行うのですが、こちらはコメディ要素ゼロで、アジア各国で問題になっているし烈な受験戦争を背景にしたシリアスな内容でした。

映画の成功を受け続編にあたる「ザ・カンニング/アルバイト情報」が公開されましたが、今一つキレが悪く本作ほどのヒットはしなかった印象です。

心底笑えるコメディの名作であるにも関わらず、地上波はもちろんサブスクでも配信している所はほとんど無いようです。
テレ東サタ☆シネあたりで放送してくれることを願ってやみません。

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