午後のロードショー「学校の怪談」
公開 1995年
監督 平山秀幸
公開当時 野村宏伸30歳
何とも言えない「夏休み感」がたまりません。
20代の頃映画館でこの映画の予告編を見た時、「うひひひひ~」が耳に残って真面目に怖かったのを覚えています。
今見ると爽やかな小学生アドベンチャー映画ですね。
善良な大人が、子供たちを楽しませようとして作った凝ったお化け屋敷という感じで、子供たちを怖がらせ過ぎない配慮が感じられます。
27年前の映画なのですが、 「口裂け女」や「トイレの花子」さんなど、都市伝説のオールスターが集結といった感じで、当時の小学生はテンション爆アゲになるくらい面白かったのではないでしょうか。
登場人物は転校したての小学5年生亜樹と妹の美夏、ガキ大将の研輔と将太、双子のヒトシとカズオ。そして突然現れる小学6年生の美少女香織。あと頼りにならない担任の小向先生。
小学校に忘れ物を取りに行った美夏は、不思議な動きをするサッカーボールに吸い寄せられるように、旧校舎へ入っていく…
古い木造校舎というのはどこかミステリアスで、ロマンがありますね。
シーンと静まり返った誰もいない放課後の校舎。
私も子供の頃、美香ちゃんのように学校に忘れ物を取りに行った時に、誰もいない校舎の昼間とはまったく違う空気を怖いと感じたものです。
美夏を探しに来た亜樹、研輔と将太、双子のヒトシとカズオも、磁場に引き寄せられるように旧校舎の中に入っていく。
旧校舎の中は、現実世界と切り離された異世界であり、おばけの巣窟なのです。
実験室、美術室、音楽室でそれぞれ起こる恐怖のイベントは充分インパクトがあり、当時としてはVFXも見ごたえ充分です。
特に実験室の人体模型、子供ならあれで一度はイタズラをしたことがありますよね。
ピンクのふわふわと浮く謎のモンスターテケテケは愛嬌があり、ホラーに身構える観客に一息つかせてくれます。
子役の演技が自然で上手かったのも驚きでした。芸達者の子供を選抜したんだなという感じがします。
先生役の野村宏伸よりよっぽど演技が上手かったと言っても過言ではありません。
将太くんの、香織ちゃんに一目惚れした時のキラキラした瞳、汚れない魂の輝きを見るようです。
「ねえ、イチゴ牛乳とコーヒー牛乳どっちが好き?」「ぼく貯金してるんだ。君にイチゴ牛乳おごってあげる」私はこのシーンが一番グッときてしまいました。
5年生の亜紀ちゃんが研輔と物置に閉じ込められた時、「おい、引っ付くんじゃねえよ!」「な、なんで私が中村に引っ付かなきゃいけないわけ!?」
甘酸っぱすぎて萌え死にしてしまいそうになりました😍
思春期の入り口に立った子供たちの、何とも言えないふわふわした感じが良いですね。
「廊下を走るな~」の用務員のおじさん。
やっと頼れる大人が現れたと思ったら、得体の知れない化け物だった…
「あの人誰? あんな人見たことないよ!?」
怖い用務員のおじさんという点で、「漂流教室」の関谷と重なってしまいました。
ラストはバイオハザードを思わせる形状変化を遂げるのですが…
友情、初恋、別れと子供の成長に欠かせない3要素が散りばめられていて、少年期を描いた日本映画としては名作と言えるのではないでしょうか。
学校の怪談シリーズは、回を重ねる毎にJホラー要素が強くなっていく感がありますが、私はこのくらいのほのぼのした感じが好きです。
ネットでいくらでも過激な映像を見る事ができる今の小学生が見たら、それこそ子供だましのように見えてしまうかもしれません。
幽霊や呪いは今も昔も子供たちの大好物、怖い話をたくさん知っている子がクラスの人気者だったりしましたよね。
恐怖によって仲間同士一体感が生まれる、なんてこともあったりします。
映画「メインテーマ」で当時20歳の野村宏伸が、薬師丸ひろ子の相手役として鮮烈デビューした時の事を思い出します。
ルックスは申し分無いものの、演技力はほとんど進化していませんね。
天下無敵の棒読みが許されるのは、彼と笠智衆くらいではないでしょうか。
なんと彼は、シングル5枚、アルバムを7枚リリースしているミュージシャンとしての側面もあるのですね。
この映画はポプラ社の「学校の怪談」シリーズが原作なのですが、原作のテイストを余すところなく映像化できているのではないでしょうか。
私は本屋さんに並んでいるポプラ社の子供文庫の背表紙を見ると、小学生の頃の気持ちが蘇ってくるのです。表紙がボロボロになるまで読んだ記憶があります。
やはり何といっても、子供たちの生身の小学生感が映画を引き立てています。
有り余る体力と好奇心、無限に開かれた未来を持つ小学生のエネルギーに元気をもらいました。
今日も無事に家に帰って午後ローを見れていることに感謝です😌
総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー★★★★
流し見許容度★★★
午後ロー親和性★★★★★
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