とことん弱小校
中学1年の冬まで通った学校は
吹奏楽部の弱小校でした。
中学1年の冬から通い始めた新しい学校は
吹奏楽部の強豪校でした。
弱小校から強豪校に転校したすの少女にとって
当時はカルチャーショックの連続でしたが
新しい学校の先輩や同期たちも
私のあまりの無知さにドン引きでした。笑
今思えば最初の学校の弱小っぷりは
もう笑っちゃうほど。
本日は
強豪校と弱小校
どちらも経験したすのだからこそ語れる
最初の学校がどれだけ弱小だったか
というようなお話をしたいと思います。
1.チューナーを持っていない
チューニングをするための必須アイテム
チューナー。
乾電池で動く
ハガキの半分くらいのサイズの電子チューナーを
部員一人ひとりが所持して練習に使うのが通例のところ
呆れたことに
最初の学校では
チューナーはパートにひとつしか無かったのです!
しかも
そのひとつのチューナーというのも個人持ちではなく
学校(というか吹奏楽部)が所有しているもので
パートリーダーが引退するときに
次の世代のパートリーダーに代々引き継ぐという
節約(?)スタイル。
(だからボロボロ)
使うタイミングというと
パート練習の初めに
パートリーダーがチューナーを持って一人ひとりのB♭をちょろっと確認して回るぐらいで
(それもたいがい形骸化)
それ以外の時にも個人練習の時にも
チューナーなんぞ触ったこともありませんでした。
(チューナーを触るのはパートリーダーの特権くらいに思ってました)
では
チューナーに頼らずに
耳をしっかり使って音をとっていたかというと
そういうわけでもなく
そもそも
「ピッチを合わせる」という基本のキの重要性を
誰も理解しておりませんで。
これではパート内はおろか
全体のピッチが合うわけもなく
サウンドは常にグチャグチャ。
というより
ピッチが「合っている」とか「合っていない」状態が
それぞれどんな風に聴こえるのか皆分かっていないものだから
(合ってないとワンワンワン〜〜という「うなり」が聴こえます)
自分達で奏でている音の汚さに
誰ひとり気づいていなかったことが最強に恐ろしい。
新しい学校に転校して
チューナーを持っていないことを白状すると
えっ!?チューナー持ってないの!?
ありえない!!
チューニングどうやってしてたの!?
と先輩に大っっ変驚かれて
大急ぎで副顧問の先生を経由して注文&購入しました。
2.チューニングピッチ(Hz)の存在を知らない
強豪校に転校したのが
中学1年の3学期でしたから
1月2月と寒い時期を乗り切り
少し暖かくなってきた3月初旬のとある練習日
コンミス(=コンサート・ミストレス)の先輩が
皆に呼びかけました。
今日からチューニングピッチを441にします!
チューニングピッチ??
441???
なんだそれ????
と疑問に思いつつも
そんなことも知らないのか!
と怒られるのが怖くて先輩には聞けず
同じパートの優しい同級生たーちゃんに
441ってなんのこと?とコッソリ尋ねました。
441というのは
めちゃめちゃザックリいうと空気の振動の数。
音というのはすなわち空気の振動ですから
441Hz(ヘルツ)は1秒間に441回振動するということ。
数字が大きいほどピッチ(音程)は高くなります。
管楽器は外気温によってピッチが左右されるので
(暑い時はピッチが高くなりやすく寒い時は低くなりやすい)
冬の寒い時期は440Hz
少し暖かくなってきたら441Hz
真夏は442Hz
とチューナーのモードを切り替えながら
チューニングをするんです。
(※先生の考え方によっては年中同じHzでやってる学校もあるかもしれません)
つまりコンミスの先輩がおっしゃったのは
暖かくなってきたから
今日から441Hzでチューニングしてね
ということだったんですね。
(そのまま)
・・・というような説明を
たーちゃんから優しく丁寧に受けて
へえ〜!そんなのがあるんだ!
と驚くと同時に
これまではどうしていたんだ????
と急にゾッとしました。
転校してきてからの2ヶ月間もそうですけど
前の学校では・・・???(恐
普通チューナーは
デフォルトで440Hzになっているはずなので
何も触らなければ440Hzで一応チューニング出来ていたことになりますが
何年も受け継いできたボロボロのチューナー
何かの拍子に手が当たって
Hzが変わっていることだってあるはず。
チューニングピッチの存在を知らないで
チューナーのモードが切り替わっていることに気づける部員などいるはずもなく
もしかすると各パートバラバラのHzでチューニングしてたりして・・・
まさに支離滅裂。本末転倒。
そんなのチューニングになっていません。
曲以前の問題です。
ちなみに顧問は音楽の先生だったので
知らないはずはないと思うのですが
チューニングピッチについて言及されたことは
一度もありませんでした。
3.拍の数え方を知らない
嘘みたいな話ですけど本当です。
拍の数え方を知らない。
(楽譜が読めないとかいう話ではありません)
どういうことかというと
たとえば
B♭を8拍のばしてください
という指示があるとするじゃないですか。
そしたらメトロノームで
1、2、3、4、と数えて
5、6、7、8、ときて
9の直前までのばしますよね。
(常識)
コレです。
コレを知らなかったのです。
イチっ、と言った時点ではゼロですから
1まで行って初めて1なわけです。
(伝わって)
コレについては
顧問の先生が再三ご注意くださっていました。
4拍と言ったら5の直前まで
8拍と言ったら9の直前までのばすんだよって。
私自身は
先生のおっしゃることをわりと真面目に聞いていたほうなので
そのようにしようとするんですけど
先輩も同期も
周りは誰もそうしないのです。
8拍と言ったら8でブチっと切れる。
そうすると
パート練習でも合奏でも
9の直前まできちんとのばそうとすると
私の音だけ残るんですよね。
それが恥ずかしくて
結局私も8でブチっになってしまって。
おそらく皆が皆そうなんでしょう。
周りの様子を伺って
誰も指示通り演奏出来ない。
新しい学校に来て
初めての全体基礎練習(ゼンキソ)のとき
B♭を8拍のばしてください!
というコンミスの指示にハイッと返事したあと
当たり前のように全員が9の手前までのばして
キレイにリリースしたのには驚きました。
前の学校の先生が言ってたのってこういうことか!
と脳のシナプスが繋がった感じ。
ついでに言うと
アタック・コア・リリースという言葉と
それらを丁寧に演奏することの大切さも
弱小校にいたときには全く知りませんでした。
※アタック・・・音の立ち上がり
コア・・・・・音の中身
リリース・・・音の後処理
(これらをまとめて音の三要素という)
4.パート練習での指摘なんてありえない
新しい学校に来ていちばん驚いたのは
パート練習の雰囲気です。
パートリーダーの先輩が
○小節目の○拍目の和音が合ってない!
△小節目のリズムが合ってない!
などと
当たり前のようにビシバシご指摘くださるのです。
パートリーダー以外の部員も
自分たちの音楽をより良いものにするべく
活発に意見をぶつけ合います。
なぜ生徒同士なのに(先生でもないのに)
そんなに音楽のことが分かるの???
と転校当初の私はポカーンでした。
新しい学校でのパート練習については
後日べつの記事で詳述するとして
弱小校では
パート練習で何かマイナスの指摘をするなんて
ありえないことでした。
あれはコンクールが終わって秋ごろだったから
文化祭の練習だったでしょうか。
トロンボーン ホルン サックスなど
中低音パートで集まって
セクション練習をした時のことです。
ある曲の
○小節目〜△小節目まで演奏して
その後ひとりひとことずつ
全員がフィードバックを言っていこう
ということになりました。
たしか15人ぐらいいたのかな。
端から順に発言してゆくのですが
みんな当たり障りのないことばかり述べるんです。
テンポをしっかり守れていて良いと思います
とかね。笑
私は
クレッシェンド・デクレッシェンドがしっかり出来ていて良かったと思います
みたいなことを言いました。
私と同じ意見の人も
何人もいました。
そんな形ばかりのセクション練習の中で
ひとり空気感の違う先輩がおられました。
○小節目の和音があまり合っていないから
もっと耳を使って周りの音を聴きつつ合わせていこう
とか
全体のボリュームのバランスがよくないから
サックスはもっと鳴らしてホルンは少し控えめに
とか
具体的な反省点を言ってくれる人です。
あまりピンと来ないながらも
皆黙って聞き入れていたんだけれども
後日その先輩への陰口が聞こえてきてしまいました。
あの子いっつもパー練で指摘ばっかしてきて
ウザくね?
調子乗ってるよね
みたいなことを
先輩たちが話しているところに遭遇してしまって
こわ!!と震えあがった私は
今後同じような場面があったら
絶対にマイナスの指摘はしないようにしよう
と心に決めてしまいました。
これでは一体誰のためのなんのための練習でしょうか。
皆で良い音楽を創る
という本来の目的からはスッカリ外れ
嫌われたりハブられたりしないために必死だったのは
きっと私だけではなかったと思います。
指摘したら睨まれる
そんな部内の雰囲気を知ってか知らずか
我がホルンパートのリーダーM先輩も
パート練習で悪い指摘をされたことは
ほとんどありませんでした。
指摘ばっかしてきてウザくね?
なんて言う人は強豪校にひとりも居なかったし
居たらむしろそっちのほうが叩き潰されてます。
(それはそれであれなんですけどね...)
弱小吹奏楽部の
とことん弱小っぷりを記事にしてみました。
対照的なふたつの環境を経験し
弱小校には弱小校の辛さがあり
強豪校には強豪校の辛さがあった
と感じています。
苦しいことが多かった吹奏楽部での日々。
不純な動機からの入部だったけど
学びも喜びも一期一会な出逢いもたくさんあって
総じて入って良かったと
今では思っています。
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いつの間にか
新人演奏会の季節ですね。