レーエンデ国物語を読んで
最近。読書をあんまりしてないなと、思い、本の世界に浸りたいと、ファンタジー小説を手に取りました。
そこで、私は、『レーエンデ国物語』という本を、皆さんにおすすめしたいと思います。
この本は、三部作に別れており今回は、一部を紹介したいと思います。
・あらすじ
ヒロインのユリアは、父親ヘクトルと共にレーエンデという名の新天地に向かいます。この国は、銀呪病という不治の病に苦しめられています。銀呪病とは、発症すると次第に全身に銀の鱗が出現していき、10年後には命を落とすと言われています。
ユリアは、古代樹の森で生活し、銀呪病患者の看病をしながら彼らと交流をしていきます。
しかし、月日が経つにつれ患者は次々と命を落としていきます。
ユリアが、この土地に来て一年半後には、半分に人が減ってしまいました。
ユリアは、古代樹の森に住むウル族の青年、トリスタンと恋に落ちます。
ですが、彼は銀呪病という病に身体を蝕まれていました。
そんな最中、この国は、敵兵の侵略が日に日に苛烈さを増していきます。
ヘクトルは、統率力が高く戦略を練るのが得意です。トリスタンは弓矢の達人で、敵兵を次々に狙撃します。二人とも愛する国の為に、全身全霊で、敵兵を撃破します。
トリスタンは、銀呪病に苦しめられながらも最期まで、果敢に敵兵と戦いました。
彼は、その時既に末期の状態でいつ死んでも不思議ではない状態でした。銀呪は身体の内側まで侵食していき、臓腑が焼け付くように熱くなっていました。
命の蝋燭がつきようとしていた時、最期に思い浮かべたのがユリアの顔でした。
彼は、微笑みながら弓を引き、全身銀の粉になり散って行きました。
・感想
私は、ユリアを中心に取り巻く、美しくも残酷な世界観に引き込まれました。
ユリアの父、ヘクトルは、統率力が高く戦術が上手く、奇策で次々と敵兵を追い払いました。彼は、機転を回しながら幾度も危険に逢いながらも、命にかけてレーエンデを守り抜きました。トリスタンと共に戦って行くうちに、お互いにかけがいのない盟友になるのでした。
そんな彼は、ユリアとトリスタンの恋仲を応援しながらも、トリスタンの身体を蝕む病魔を危惧し、ユリアと彼の長くいられない時間を憂います。
私は、銀呪病のトリスタンと長く一緒に居たくてもそれが出来ない運命に悲しむユリアの気持ちが、とても切なく感じました。
トリスタンは、逃れられない運命に抗いながらも最期まで、ユリアを守り抜きました。
彼は、最期の最期に好きな人を想いながら全身全霊で弓矢を放ちますが、銀呪に骨の髄まで蝕まれた状態で健気に敵兵に一撃を放つシーンに胸を打たれました。
彼は、その直後身体が銀の灰になっ散りますが、その様を、『死』という言葉を使わず表現しているのが巧みだな…と、感じました。
彼は、本当はユリアとずっと一緒に居たかったことでしょう。結婚して、子ができ幸せな家庭を築きたかったことでしょう。
ですが、彼は、時間があんまり残されてない状態で最期の最後まで、国の為にウル族の誇りに掛けて戦い抜いたのでした。
ユリアとヘクトル、トリスタンは、レーエンデの後世に残る偉業を果たしました。
壮大で、登場人物の心理描写が巧みであり、美しい世界観に、心を惹き込まれることでしょう。
ユリアがお腹に宿した子も、今後に続いていく話のキーパーソンになるかと思われます。
ユリアは、聖母マリアを彷彿とさせています。
これには、何か独特の暗喩があるように感じます。
幻魚という、獰猛な怪魚の存在に怯えながらも、果敢に戦い抜くヘクトルとトリスタンの戦いぶりも印象的でした。
この本は、二巻、三巻と、時代の流れを感じさせられます。
ファンタジーものに興味ない人でも、溜め息が出てしまうことでしょう。
ニ巻、『月と太陽』、三巻の『喝采か沈黙か』については、以下の記事で取り上げてます。↓