こもる人。「小説8050」
閲覧ありがとうございます。
今日は、林真理子著「小説8050」について、
書いておこうかなと思います。
「8050」は、現代において、日本中に広がっているだろう、「親が80代の家に無職の50代がいる家庭」をテーマにした作品です。
わたしは、ニュースなどで、知ってはいましたが
特に自分に近しい点が無く、興味は無かったのですが、つい仕事帰りにふらっと寄った図書館で棚にあるのを発見し、借りて帰ってしまいました。
なぜに、借りたかというと、、
この「8050」、発売当初から常に「貸し出し中」、常に予約待ち。その人気?ぶりから見ても、皆さんが興味ある、又は、自分に関係ある内容だから、需要があるのだろうと思いました。
ライヴや観劇、時たま、エイヤッとする寄付の予算だけでいっぱいいっぱい、ハードカバーなどには手が出ないが納税はしている一般市民の私は図書館の常連さん。常連さんでも、見なかった本がタイミング良く借りることができ、読んでみようと思いました。
ネタバレはしませんので、ざっくり書きますと
題名は「8050」ですが、
登場人物は50代の両親、20歳の男の子(ひきこもり)、成人して外に住んでる娘(20代)です。
だから、「5020」ですね。
父親は開業歯科医、母は専業主婦。と、読むと、経済的に恵まれています。しかし、今は歯科医も増える一方、営業、投資をしないと患者さんは減る一方。息子は、13歳から引きこもっている。
娘の結婚話しが出たことをタイミングに、両親は、
息子の社会復帰を目指すことになります。
息子は、有名進学校に通い、医者を目指していました。ドロップアウトした息子を医者などのハイクラスに入れるのをまだ夢見ている母親。
「翔ちゃんは、やればできる子」と、信じ、食事を作り、風呂の用意をして、時にはおこずかいをあげる母親。それをたしなめる父親。だけど、息子とは向き合うことはしない。
「いつか、どうにかなる。いざとなったら専門業者に頼んだらいい。」と、外に解決策があると夢みている両親は大枚はたいて、業者を呼んだりもしますが、息子の怒りが増すばかりです。
息子は、両親が寝静まった0時などから活動を開始します。風呂に入ったりご飯食べたり、ゲームをしたり、パソコンを触ったり
自分の生活スタイルが、固まっているんですよね。
だから、この7年に渡って、固まった硬い殻をどうやって剥いで、中にある熱い核をどうやって出すか。。それは、弁護士でも業者でもなく、家族と本人しかできないことだと思います。
私も、覚えがありますが、小、中の時代には、成熟していない人間ばかりが集ってますから「いじめ」があります。私は、された側でしたが、軽かったんで、後遺症はありませんでした。
学校には通えてラッキーだったと思います。
学校生活に馴染めず、家庭に引きこもってしまったら、自分の盾と剣を作成できません。盾と剣は社会に出て使います。
学校は、楽しいばかりじゃなく、小さな大人の社会だと思いますから、「いろいろな人間」を見ることができる絶好の場所です。
その場所を見ることなく、籠城したら、自分が籠城している間に世間に出て、ずるいやり方やひねた見方を学んだ連中とすぐ共存できるかと、言われたら、それは、ムリだと思います。
また、学校生活を経て、社会に出た人間にも、社会にいる「自分のストレスを他人にストレスを与えることで解消しょうとする人間」に、攻撃され、傷付いてしまう場合があります。
「8050」の息子は、中学校のときの「いじめ」が原因だったので、両親といっしょに「未来」に向けて、「過去」と、闘う物語です。
わたしは、「ひきこもる」要素は、誰でも、持っていると思います。「やるか」、「やらないか」だと思います。物理的にひきこもらなくても、自分の深い本音などは、決して他人には見せない心のひきこもりもあります。
どうですかねぇ、、
「ひきこもり」と、一概に括ってはいけない気がします。ケースごとに、抱えている問題は違うし、
全て解決できる専門家は、いないと思います。
「小説8050」
一気読み案件だと思います。
勉強になりました。