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バカこくでねぇ!映画「あヽ野麦峠」



閲覧ありがとうございます。



今日は映画「あヽ野麦峠」を観たコレアレを書いておこうと思ます。



地井武男さんが兄ぃ!

「あヽ野麦峠」は、名前は、とても有名ですから
知ってましたが、観たことはありませんでした。
たまたま、映画チャンネルを流していたら、
始まって、母親は、後ろから、ガン見体制に入っていましたが、わたしは、寝っ転がり、(耳かきしょうかなぁ)とか、チラ見チラ見していましたが、冒頭の部分から、「これは!正座して観なければ!」と、すぐに、起き上がりました。


ストーリーをちょっと書いておきますと、
明治の時代から大正にかけ、飛騨地方の貧農家の少女たち(12歳から!)が、厳しい野麦峠などを越えて
諏訪地方の製紙工場に出稼ぎにいきます。
そして、劣悪な環境でも、必死に前向きに生きる彼女たちの姿を映し出した映画です。


「口べらし」の意味と、「収入が増える」という
貧農家の親には、一石二鳥的な、製糸工場への
出稼ぎは、さみしいながらも、ありがたいことだったでしょうが、少女たちを工場に送り出すに来る
工場のスカウトマンたちは、生活苦に喘ぐ、親に
大金を見せて、契約を促します。

「えぇ~。契約金、五円でもってぇ、◯◯みねを
雇い入れるがぁ~、おとっつあん!こっからがでぇじ(大事)なこと、だでな!よく聞いとくべ!」


「みねが、工場から逃げ出したりぃ~損害を与えたりした場合には、問答無用にて、五十円を会社に支払わねばなんね!」(10倍返し!!半沢直樹よりえげつない!)


よく聞いとくべと、言われても、おとっつあん、かかさまは、お札パワーで、舞い上がり、聞いてません。


みね~あんがとさん~


(おりがいぐこどで、とっさまたちが喜んでる)
と、若干12歳くらいのみねちゃんは、誇らしそうに、ニコニコと聞いていました。
苦虫を噛み潰したような、地井兄さんでしたが、何も言えません。
なんと、みねの下にも、四人もの幼子がいたのです!



がーん!(大根かじりnow)


みねと同じような境遇の少女たちが、冬の峠を越え、諏訪を目指します。
足元は、深い雪なのに、ゴム製長靴などは無くて、
足袋にわらじ(´;ω;`)です。



私なら5メートルでギブ。


映画「八甲田山」かと、錯覚するような厳しい雪山です。八甲田山では、戦争に行く若者兵たちは、歯を食い縛り、厳しい表情で雪山越えに挑んでいましたが、野麦峠を越える少女たちの表情には、「笑顔」と、「無邪気」、時々、「不安」が現れては
消えていました。今から始まる工場への不安と、
ふるさとを離れる寂しさはあるが、それを上回る、家族を助ける誇らしさが勝ったのでしょう。


RPGで、言うと、主人公は、僧侶や戦士や商人、魔法使いなど自分の生き方を選べますが、野麦峠の時代の若者には、「作業労働者」一択だった場合が多いと思います。



製糸工場に着き、団体で仕事、団体で睡眠、団体で
食事、団体でお手洗いの生活が始まり、少女たちは
常に走らされています。

「さっさと行がねが!遅れたらメシ抜きだでよ!」

ロッテンマイヤーさんみたいな、湯ばーばみたいな監督おばさんから、怒鳴られ、

「百円工女になってぇ、ふるさとのおど、おがに楽させてやんべぇなぁ!」

とか、検番のおっさんにもやかましく言われて、
物凄い高湿と繭の臭いに包まれながらも、工女たちは、頑張ります。



不快指数MAX!



なんと立ち食い!でも嬉しそう(´;ω;`)


野麦峠の少女たちは、搾取される日々を送ります。
世界恐慌が始まると、時計をわざとずらして、
朝5時から夜中の12時近くまで、働かせたり、
見目が、美しい女工は、バカ検番からセクハラされたり、また、ふるさとの親から「前借りを頼んでけろ」とか、手紙が来て、前借りしながら、未来に希望を無くす少女もいたり。
休みは一ヶ月に二回しかなくて、たまの楽しみは
饅頭と盆踊り?


「おら、こんな村いやだ~♪」とか、吉幾三さんに
工場で歌って欲しいくらいですが、不思議と脱走工女が現れません。それは、なぜなのかと考えると、
やはり、ふるさとの「家族」が、がっちりと枷になっているんですよね。自分が逃げ出したら、家族に迷惑がかかる。家族が困窮する。
それだけは、避けたいから、自分を削りながらも、
けなげに生きていたのでしょう。

なんでもそうだと思いますが、いろいろな不具合は、一番弱い部分に負荷がかかってきます。そして、そのパーツが壊れてしまったら、ヘタしたら、
基盤ごと、ごっそり変える必要が出てきます。
壊れて初めて、解る自分たちの欠陥を、想像できなかった当時の工場主や、政を司っていた男性陣には
チコちゃんから「ぼーっと生きてるんじゃねぇよ!」と、電報を打って欲しいくらいです。


ちょっと逸れますが、

いつも思いますが、昭和のあの時代の女優さんたちは、少女の頃から、めちゃめちゃ麗しい!


大竹しのぶさん。


現代では、いかな子役でも、自分開拓に「研究」しています。大人からの技術も加わり、なんと言いますか、「どこかで見たような」女優、男優が、にょきにょきと出てきています。
しかし、美しい「個性」は、創ることはできなくて、なーんにもしなくても、化粧とか、ちゃっちゃっとしか、しなくても、「キラキラしてる!」と、
視聴者が感じるものです。

わたしは、この方に釘付けでした。





坂口良子さん!


「犬神家の一族」で、旅館の従業員役でしたが、
むちゃむちゃ、キュートだなぁと、衝撃でした。

そして、昭和の映画女優、男優さんは滑舌が良く、
セリフも、ちゃんと聞き取れます。家事とかしながらでも、ストーリーを追えるんじゃないかな。
今みたいに、人気歌手なんかが、主役をすると、
モゴモゴして、「ちょっと何言ってるかわからない」時があります。


で、野麦峠に話しを戻しますと、


製糸工場では、激務、または、環境のため、体調を崩す女工さんが、多発してきます。

「おり、もう、ダンメだぁ。眠らせてけろ~」


「バカこくでねぇ!」


「腹へったぁ。休ませてけれ~」


「バカこくでねぇ!!」


女工が、何を訴えても、「バカこくでねぇ」で撥ね付ける運営陣ですが、

「おめえらは、部品だでよ!壊れても、なんぼでも、代えが効くだ!」

と、偉そうに、言い放つ工場のバカ旦那ですが、

バカ旦那こそ、
バカこくでねぇ。なんですが、バカなんで、
解らなかったみたいです。


ラストは、涙無くしては、終われない感じでした。
母も、涙ぐんでおりましたが、

わたしは、あの時代の特権階級にある人々。特に男性陣の、非常に偏見と欺瞞に満ちた考え方に、ゾッとしました。

たしかに、日本が、歩んだ道なんだなと、ショックでもありました。


また、今から、どんな展開があるかわからない日本、世界になりつつあります。

また、野麦峠みたいな、名もない弱者を作り上げる世界だけは、回避したいなと思いました。


「あヽ野麦峠」
後世も、ずっと残したい伝記映画だと思います。



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