こんにちは、三太です。
1月も気づけば、最終週となりました。
19日に京都の文学フリマに行ったことを機に、これまで以上にポッドキャストを聞くようになりました。
特に文学系のラジオです。
自分の世界が広がるようで楽しいなと思っている今日この頃です。
では、今回は『ブランド』を読んでいきます。
初出年は2021年(7月)です。
角川文庫の『ブランド』で読みました。
あらすじ
吉田修一さんが芥川賞を受賞されてから20年をかけて書きためられてきた短篇とエッセイの作品集。
宝石ブランドの話あり、ブータン紀行あり、バーの紹介ありと内容は多種多様です。
巻末で吉田修一さんにインタビューをした田中敏恵さん曰く「吉田修一前菜集」のような立ち位置の作品ですらすらと読めるのが魅力です。
(ちなみにメインディッシュ的作品は『犯罪小説集』や『国宝』などです)
公式HPの紹介文も載せておきます。
出てくる映画(ページ数)
①「ダイ・ハード」(pp.75-76 「NIGHT COLOR」シリーズ)
→「BRUTUS」マガジンハウスの2011/5~2012/3のいずれかの号で、どの号が初出かは不明です。
②「恋する惑星」(p.204 「鏡合わせの都市」)
→2010/2が初出で、おそらくエッセイです。
今回は2作ありました。
②「恋する惑星」は既出なので、「ダイ・ハード」を見ます。
感想
この作品は随所に光るエピソードがあります。
ここでは好きだな、いいなと思った三つのエピソードを紹介します。
一つ目は、「世田谷迷路」という短篇の登場人物が日産のティーダを購入することに決めた理由です。
車を停める場所に合う車種にするという発想を自分はしたことがなかったので、とてもステキだと感じました。
ちょっとでも燃費が良いとか、良く走るのが良いとか、少しでも良いものをみたいな合理的な発想とはまた違う部分に惹かれたのだと思います。
二つ目は「ブータン紀行」という紀行文の最後に出てくる「せつなさ」という日本語の考察です。
そもそもせつなさというのは胸が締め付けられるような思いというところで確かにとなるところを、さらに踏み込んで「高貴さ」も付け加えて考えているところに旅の持つ出会いの力みたいなものが感じられました。
最後は「THE BAR」というエッセイに出てくる小池真理子さんとのエピソードです。
とてもオシャレなエピソードだなと感じました。
私自身はあまりドライマティーニというものは知らないのですが、(ちょっと調べはしましたが・・・)、自分だけが持つ決まり事みたいなのがいいなと感じました。
姐さんのドライマティーニ霜夜かな
以上で、『ブランド』の紹介は終わります。
生産性とはまた別の価値観を自分も持っていたいなと思えた作品でした。
それでは、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。