【閑話休題#53】友田とん『『百年の孤独』を代わりに読む』
こんにちは、三太です。
今回はこちらの作品を読みます。
おそらくこの本の存在はX(旧Twitter)を通じて知ったのだと思います。(すみません、細かいことは忘れてしまいました・・・。気づいたらポチっていたという感じでした)
自分自身は去年の夏休みに『百年の孤独』を読みました。
そこで改めてこの本も読むことで、『百年の孤独』を振り返ることができ、また他の人がどのように『百年の孤独』を読むのかを知ることもできるかなと思い、手にとりました。
また、今回noteに投稿したのは、この本自体がもともとnoteに書かれた記事をまとめられたものだったということもありました。
友田とん『『百年の孤独』を代わりに読む』は2018年の5月に刊行された本です。
文庫化されたのは、2024年の6月です。
要約
本書では、同じ名前の登場人物が繰り返し出てきたり、日本とは文化の違う場所の出来事であったり、一見読むことの難しいと思われるガブリエル・ガルシア=マルケスの『百年の孤独』を題材に、それを「代わりに読む」ということが行われます。
そのために著者が『百年の孤独』と関わりを持つと考える映画・ドラマ・小説・漫画など様々な著者にとって身近なものが引用されます。
『百年の孤独』の流れも分かる仕掛けとなっていますが、それと同じぐらい「代わりに読む」ということについての思索が繰り広げられます。
感想
はじめから終わりまで、文中に漂い続けるほのかなユーモアが心地よい、楽しく面白い作品でした。
脱線話が面白い学校の授業を聞いているような感覚ですかね。
そもそも著者の友田さんの『百年の孤独』への愛がとても深いです。
約3年をかけて読み続けてきたということで、ずっと『百年の孤独』に向き合い続けたんだなということも分かります。(なかなか一作に対してできないことだと思います)
そして、脱線話も思いつきで脱線しているようで、他の脱線話と話が繋がるなど、緻密に考えられた脱線なんだなとも思いました。
この脱線というか書かれていることから世界が広がるという点では次の本をイメージしました。
橋本武さんは今の灘中学校・高等学校の国語教師をされていました。
中勘助の『銀の匙』を教材に、中学校3年間、ずっとそれで国語の授業をしていくということをされていたようです。
いわゆるスローリーディングというものでしょうか。
伝説の国語授業として一時期話題となりました。
その中で、紹介されていたエピソードに『銀の匙』には子どもの遊びがたくさん出てくるらしく、例えば「百人一首」であったり、「凧揚げ」であったりそれらが出てきたときに、実際に遊んでみたというエピソードがありました。
この本文から脱線する感じが、友田とんさんが『『百年の孤独』を代わりに読む』でされたことに似ているなと感じました。
今回、友田さんの本を読むことで『百年の孤独』の新たな読み方に気づき、目を見開かされる思いでした。
今回は友田とん『『百年の孤独』を代わりに読む』の紹介でした。
一冊の本からの豊かな広がりを感じられる読書体験でした。
それでは、読んでいただき、ありがとうございました。