【柳町光男シリーズ#2】「隣の女」『さよなら渓谷(文庫解説)』より
こんにちは、三太です。
ようやく残暑といえるような気候になってきました。
学校では9月から2学期に入ってますが、文化祭などもあり国語の授業自体はこれまで少なめでした。
そして、大体学期の初め、私は俳句の授業をするので、教科書を使った授業は今週から久しぶりに行っています。
安東みきえさんの「星の花が降るころに」という教材で「続き物語」を書く授業をしたいと考えています。
どんな「続き物語」ができるのか楽しみです。
では、今回は以前、『さよなら渓谷』の作品紹介をしたときに取り上げた「映画監督、柳町光男さんの解説」に出てきた映画「隣の女」を紹介します。
『さよなら渓谷』の文庫解説に出てくる10作の映画のうちの2作目です。
ちなみに文庫解説には「隣の女」について以下のような記述があります。
どうやら隣の家同士の男女の愛の物語のようです。
では、実際に今から見ていきたいと思います。
基本情報
監督:フランソワ・トリュフォー
出演者:ベルナルド(ジェラール・ドパルデュー)
マチルド(ファニー・アルダン)
フィリップ(アンリ・ガルサン)
アルレット(ミシェル・ボートガルトネル)
上映時間:1時間40分
公開:1981年
あらすじ
妻のアルレット、幼い息子のトマと幸せに暮らしていたベルナルド。(ベルナール)
ベルナルドの家族が住む家の隣に引っ越してきた夫婦、フィリップとマチルド。
この引っ越しをきっかけに、いやもっと正確に言えば、マチルドの存在によってベルナルドの生活は大きく変わっていきます。
実はベルナルドとマチルドは八年前に付き合っており、二人にはそれぞれそのときの未練のようなものが残っていたのです。
ただ二人とも、もう一度付き合うということはないこと、そうすることは今の幸せな生活を破壊することを頭では分かっています。
しかし、隣家という性質上、近所づきあいを全くしないわけにもいかず、徐々に距離を縮めてしまい、ついに不倫関係となります。
この不倫関係が現実生活で上手く続くはずもなく、彼らは自分たちのやり方で愛というものを証明するのでした。
設定
・ジューブ夫人が回想を語るという額縁構造(冒頭と結末がつながる)
・元カレ、元カノ
・愛の狂気
感想
「一緒は苦しい、でもあなたなしでは生きていけない・・・」
この最後のメッセージと結末を見終わって、ベルナルドとマチルドにとっては、二人の愛こそが人生だったのだと思いました。
ベルナルドとマチルドのお互いへの思いの燃え上がりにズレというか、逆転現象が起こっていたように感じました。
引っ越してきた当初、「会いたい」という感じを出してきたのは、マチルドでした。
しかし、途中からはベルナルドがマチルドにはまった状態になり、ロランという編集者の存在やフィリップと新婚旅行に出ることなどへの嫉妬心を抑えることができません。
ついに新婚旅行前のパーティーで狂ってしまい、自分たちの過去が白日の下に晒されます。
それでもなお求めあわずにはいられない二人に愛の狂気が表れていました。
客観的に見ていると「ここまでなるかな・・・」となりますが、逆に言うとそこまでになる運命的な二人ということを表しているのだと思います。
隣家にも未練の情と天の川
その他
ウィキペディアより
→パーティーの席でマチルドのドレスが椅子に引っかかってすべり落ちてしまうシーンは、ハワード・ホークス監督の『赤ちゃん教育』からの引用。マチルドの夫の職業が航空管制官なのは、エリック・ロメール監督の『飛行士の妻』への目配せ。ベルナールがマダム・ジェーヴに語った「女のために自分の腕を切り落とした」男の話はトッド・ブラウニング監督の『知られぬ人』。ベルナールが妻と一緒に見に行った映画はマイケル・カーティス監督の『歩く死骸』。
=様々な過去作を踏まえて作られていることが分かります。
吉田修一作品とのつながり
・柳町光男さんの解説も踏まえるなら、やはり隣家との関係を描くという意味で、『さよなら渓谷』と共通しますね。
以上で、「隣の女」については終わります。
久しぶりに愛の狂気を感じる映画でした。
それでは、読んでいただき、ありがとうございました。
画像の出典:Amazon「隣の女」