【教育 本#7】柴山翔太『きみが校長をやればいい』
こんにちは、三太です。
このnoteでは「吉田修一さんの作品をもとにした映画ガイド」を作っています。
もちろんこれからもそこが軸になるのですが、中学校教員ということもあり、仕事のベースは当然「教育」にあります。
そのため「教育」関係の本を読んだり、「教育」について考えたりすることは普段からたくさんあります。
せっかくならそれもアウトプットしてみたいなと考えました。
月に1本ペースぐらいで「教育」に関する記事(主に本のまとめになると思いますが)をあげていこうと思います。
今回はその7回目になります。
では、こちらの作品を読みます。
今回読んだ『きみが校長をやればいい』は書店で、その大胆なタイトルに惹かれて手に取りました。
前回の『校長の力』に引き続き、どうやら今の自分は「校長」に興味があるようです。
ただ、今回の本は「校長」の話よりも校長になるまでの国語科教員としての小論文指導の話やなるまでのいきさつがメインだったように思えました。
要約
挑戦を、楽しめ
表紙の裏に赤字でガツンと書かれたこの言葉。
これは著者が30歳で校長となった福岡女子商業高等学校のスローガンです。
本書にはまさにこの言葉を地で行く著者の挑戦の過程があります。
・国語科教員としての進路指導における小論文指導
・校長となるまでの理事長とのやり取り(決してご本人がいきなり校長になりたかったわけではないようです)
・覚悟を決めて校長となってからの様々な改革
これらの取り組みが具体的に書かれています。
感想
本書を読んで、こちらのスイッチが入りました。
まず自分も教員として、そして特に国語科の教員として、もっと自分のやりたいこと、やるべきことを言語化するべきだなと感じました。
柴山先生が小論文指導を始めるときに話す「4人のレンガ職人の話」が印象的です。(有名な話のようです)
「みんなは何人目の職人?」という問いかけを生徒にして何のために学んでいるかの認識を深めさせるようです。
これを自分に当てはめて考えたときに、「何のために」を意識して働けているかなとふと不安になりました。
どうしても忙しいということにかまけて、惰性に流れがちになってしまいます。
もう一度、自分に問いを投げかけて、働くこと、ひいては生きることに対するモチベーションを高めていきたいです。
また小論文指導についてはこのようなモチベーションの話だけでなく、具体的な中身の話もたくさんあり、勉強になります。
特に私が面白かったのは、合格ラインを知るために実際に大学入試を終えた生徒に後日、当日の試験で書いた答案を複製してもらうということです。(p.207)
これをすることによって、「ここまで書けていたら合格」「ここまでしか書けていなかったら不合格」という情報が積み重なっていって、指導でも長期的な視点で声かけをできるようです。
実際に知り合いの高校の先生に聞いてみると、こういったことをするところはするようです。
私自身はあまり知らない分野であり、小論文などの合格のラインを見極めるのってけっこう難しいよねとこれまで思っていたので、このやり方は目から鱗でした。
生徒たちの進路を切り拓いていく大きな武器の一つとして、小論文指導についてももっと知りたいと思えました。
校長となってからの改革で一番面白かったのは「キカクブ」です。
これは生徒主体の広報活動のことです。
商業高校ということもあり、生徒がTikTokやインスタグラムを使って学校の色んなことを発信していったようです。
特に勉強になったのが、やり始める前に「コンサルタントの指導のもとかなり専門的な他校分析」(p.165)を行ったということです。
やっぱり挑戦は挑戦でもこういった準備がまずは大事になってくるようです。
柴山先生にはこれまでの教員歴で良い先生との出会いがありました。
例えば、言葉の力を持った校長先生との出会い。
その先生には「皆さん、校長のつもりで働いてください」(p.7)と言われたようです。
こういった出会いが今の柴山先生のキャリアにも繋がっているんだなと思いましたし、やはり良い教師というのは、自分も良い教師に出会っているんだなということも改めて思いました。
今回は柴山翔太『きみが校長をやればいい』の紹介でした。
自分のやる気に火をつけてくれるような作品でした。
それでは、読んでいただき、ありがとうございました。