【教育 本#4】税所篤快『未来の学校のつくりかた』
こんにちは、三太です。
このnoteでは「吉田修一さんの作品をもとにした映画ガイド」を作っています。
もちろんこれからもそこが軸になるのですが、中学校教員ということもあり、仕事のベースは当然「教育」にあります。
そのため「教育」関係の本を読んだり、「教育」について考えたりすることは普段からたくさんあります。
せっかくならそれもアウトプットしてみたいなと考えました。
月に1本ペースぐらいで「教育」に関する記事(主に本のまとめになると思いますが)をあげていこうと思います。
今回はその4回目になります。
だいぶ月1ペースは崩れていますが・・・。
では、こちらの作品を読みます。
これまでは「教育」の分野における「発達障害」に注目して本を読んできました。
「発達障害」について全てがわかったわけではないですが、ある程度は見えてきたように思います。
今回からは「教育」をもう少し大きく捉えていこうと思い、この本にしました。
また、著者の税所篤快さんについては『前へ前へ前へ』を読んで知っていました。
熱い人なので、その一端に触れられたらなという思いもありました。
要約
本書にも登場する杉並区の教育長、井出さんに「このままでは日本の教育が危ない」と聞いた税所さんが、「本当にそうなのか」「日本の教育はどうなっているのか」という問題意識を持ち、全国の5つの教育現場を歩き回ったルポルタージュです。
5つの教育現場は以下のとおりです。
大空市立大空小学校
杉並区
N高
侍学園
大槌町
良いと思ったものに素直に飛びつける税所さんのパワフルさにとても大きなエネルギーをもらえる本です。
感想
自分としては「自分(たち)の教育実践に活かせるものはないか」という問題意識を持ち、本書を読んでいきました。
結論的に言うと、活かせるというよりも、これからの自分の人生に対してのとても意義ある種まきになったように思います。
それでは、心にとまったところをいくつかピックアップしていきます。
税所さんは大空小学校を訪れたあと、杉並区を訪ね、教育長の井出さんと対話を行います。
そこでの対話を通してある先生の言葉を思い出します。
テレビに出たり、youtubeに取り上げられたり、本を出したりする人はスペシャルな人が多いと思いますし、仕事に膨大な時間をかけている場合も多々あると思います。
けれども、特に公教育においては「普通に働いて良い仕事となる」というのが一つ理想かなと自分は思っていて、その考えに通じ合う部分でした。
また、税所さんは学校の役割の本質を次のように考えています。
この部分にもとても共感しました。
教える部分ももちろんありますが、もしかして今の時代はそれは求めればネットでもできるかもしれません。
でも、それを求めようとする主体というか姿勢を作り出せるのは学校の役割だと思います。
そのためにも私は教師自身が何かに好奇心を持ち、やるきに溢れ、学んでいることが必要だと思います。
誰かを変えるためにはまず自分から(主体変容)ということですよね。
税所さんは5つの教育現場を訪れて、2030年の学校のあり方を模索します。
本書では最後にそれが絵として示されるのでぜひとも見てほしいのですが、その一つのキーワードとして「学校づくりはまちづくり」という言葉があります。
これは自分の今の状況にとても響きました。
私は人口が15000人いかないぐらいのあまり大きくない町に住んでいます。
自分はこの町が好きなので、ずっと町として存続してほしいですが、町に1校ある高校は定員割れ等でかなり厳しい状況です。(本書に出てくる大槌町の状態と似ているところもあります)
ただ、自分が思うのはこの高校もなくなってしまうとより町として続いていくことが厳しくなると思います。
行く学校がないところに(もちろん隣の町にはありますが・・・)若い人たちは住まないと思うので。
学校と地域とはお互いがお互いを支え合っている関係にあると思うので、その部分も意識して教育に携わっていければと考えています。
このような点が今目の前の教育実践にすぐに活かせるという意味では違うけれど、これからの自分の身の処し方に大きく関わってくる種まきとして効いてくるかなと思いました。
今回は税所篤快『未来の学校のつくりかた』の紹介でした。
自分も一緒に未来の教育のあり方をこれからも追い求めていきたいです。
次回は「侍学園」に関わるノンフィクション映画「サムライフ」を見ていきます。
それでは、読んでいただき、ありがとうございました。