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映画感想「翔んで埼玉 〜琵琶湖より愛をこめて〜」2023年公開
*この記事は2023年12月にAmebloに投稿したものを加筆修正しています
※ネタバレを含みます
家族で鑑賞。
朝早くの上映回で観たら、その日一日、とても楽しく過ごせた。
映画の中に登場するローカルネタについて、
ぜひ周りの人と話題にして盛り上がりたい。
前作は、埼玉と、それを取り巻く関東県の闘いを描いていた。
今回の第二章では、GACKT演じる麻実麗が、日本埼玉化計画をより推進するため、埼玉の団結を促そうと、「埼玉に海をつくる」という壮大なミッションに挑む。
麗(GACKT)は壇ノ浦百美(二階堂ふみ)に、埼玉の鉄道各線との交渉を託す。
埼玉の ”横のつながり” を作る ”武蔵野線” 実現のためだ。
そして自らは、埼玉のビーチに必要な美しい白い砂を求めて、
和歌山の”白浜” を目指し船出する。
千葉解放戦線の力を借りて海に出るも、嵐で船はバラバラに。
麗(GACKT)は一人、砂浜に漂着する。
助けてくれたのは滋賀解放戦線の桔梗魁(杏)。
和歌山は大阪に占領されていた。
近畿は大阪府知事(片岡愛之助)、神戸市長(藤原紀香)、京都市長(川崎麻世)の支配下にあり、
以前の埼玉と同様に、和歌山のビーチに入るにも通行手形が必要になっている。
和歌山、滋賀、奈良など周辺の国は、大阪人を楽しませるために使役され搾取される日々。
和歌山解放戦線のリーダーである姫君は、祈りの力で砂浜を白く保つことができるが、彼女も大阪によって囚われていた。
通行手形を撤廃して周辺国を解放し、ビーチのための砂を手に入れようと、
麗は奔走する。
『チャーリーとチョコレート工場』をだいぶ忠実にパロったシーンもあるなど、
終始、くつくつ笑いが止まらない。
片岡愛之助は、いやらしさとスケール感たっぷりに映画を引っ張る。
敵役は大きくなければ面白くないので、スクリーンが狭いくらいの存在感は嬉しい。
意外なほど良かったのが、桔梗魁を演じる杏だった。
この人の魅力は、何をやっても ”杏” でありつつも、
その不器用さが却って役柄の真摯さと体当たりの頑張りに見えるところ。
今回の滋賀解放戦線で奮闘する魁も、
その一生懸命な姿、麗に向ける健気で切ない視線が観る側を惹き込む。
淀川への水の流れを止めるために滋賀の人々を説得する場面は特にいい。
二階堂ふみは圧巻の演技。
GACKTとこの人がいたからこそ、この映画は成功したのだろうと思いつつも、
これほどの才能をここで観てしまっていいのだろうかという後ろめたさもある。
いよいよ現状では、映画もテレビも彼女には狭すぎるのかなと感じる。
前作からの配役を踏襲しつつ、関西メンバーも強烈な布陣になっている。
滋賀解放戦線のくっきー!(野生爆弾)と堀田真由が ”近江兄弟" であるほか
京都で山村紅葉など、ご当地感のある豪華な出演者が映画の賑やかさを盛り上げる。
そういう豪華な配役にも負けない存在感が、”とび太” 。
闘いや水没の中で大量に登場する ”とびだしとび太” に涙が止まらない。
可笑しいやら、なんともいえない哀愁に涙が出るやら、感情が忙しい。
今回も埼玉をはじめ滋賀と周辺国に愛のあるディスりが溢れている。
ネタにされていても、そんなことまでよく知ってるなあ、
って域に達しているので今回も全く腹が立たない。
落ち込んだとき、気分を変えたいとき、寛大でありたいとき、
この真剣で壮大なおふざけを、またきっと観たくなると思う。