春のような温かさがいつもある学校に… 器用ではないかもしれない しかし決して裏切らない 〜心の宝物326
🌷登下校のトラブル
コロナ機の学校
5年生の彼は、通学班の副リーダーです。通学距離はさほどでもありませんが、低学年の児童が多い班の引率は、上級生にとってはなかなかの気苦労です。
使命感の強い子の中には、そんな仲間の気のゆるみを、強い言葉で叱責する子もいます。下級生も、それを善意に解釈し、助言として受け入れて行動を改めればよいのですが、なかなかどうして、そんな絵に描いたようにはいきません。ふざけて反発、売り言葉に買い言葉が重なって、にっちもさっちもいかなくなり、最後は「トラブル」として通学班担当の先生に持ち込まれ、「通学班会」の開催に至ります。
給食時間の放送で「○○分団第〇班の人は、お昼休みに〇〇室に集まってください」と流れるたびに、「お、またやったな」と思わず微笑んだものでした。
登下校は、子どもたちの素顔が表れやすい時間です。ぶつかり合って当然で、それだけ学びも多くなります。担当の先生には申し訳ありませんでしたが、トラブルの度に、学びを深めていく子どもたちでした。
🌷器用ではないかもしれない しかし決して裏切らない
彼は、そういった強い叱責の言葉とは無縁の人でした。言葉少なで、感情の起伏を表に出すことはめったにありません。自分から積極的に話しかける方でもなく、他者からは、どちらかと言えばとっつきにくく見えるタイプのようですが、下級生は彼を慕って全幅の信頼を置いていました。
彼の通学班が、校門下の坂にさしかかります。緊張が解けた子たちは、歩行スペースの、グリーン塗装白線からはみ出してしまいます。彼は最後列から、たしなめます。決して強い言葉ではありません。しかし、下級生たちは、バツの悪そうな笑顔で、さっということをききます。
別の日、下級生が、登校途中で転んでけがをしてしまいました。泣いているその子の手を引いて、こども110番の家へ手当のお願いに行きました。
そのエピソードをきいたとき、いささかのためらいもなく、表情一つ変えず、しかし、その子の手をしっかりと握って安心を伝えている彼の様子が目に見えるようでした。
器用か、不器用かと言ってしまえば、君は、人間関係を器用に築いていく方ではないだろう。余計なことを言わず、無用に相手におもねらない。
しかし、困っている人を決して見捨てない。期待を感じたら決して裏切らない。行動で、短い言葉で、そのときの全力で最善を尽くす。
君がそんな君であることを、仲間たちはみんな知っている。
もちろん、私たちも知っている。
私たち全員が、君を誇りに思っている。
かけがえのないあなたへ
素敵なきらめきをありがとう
出会ってくれてありがとう
生まれてきてくれてありがとう
どうか、ありのままで
どうか、幸せで