春のような温かさがいつもある学校に… 今はそこにいなくても 〜心の宝物133
🌷給食後の昼休み
コロナ機の学校
学校に新型コロナウイルスが入る可能性を、更に校内における感染の可能性を極小化すること。
それが、この時期、全国の学校に課された社会からの要請でした。そのために、ありとあらゆる場面を想定して打てる手をすべて打つ。各学校は強い使命感で実践を工夫し、同一市町村内の学校で交流し、自校になかったアイディアは積極的に取り入れていきました。
とはいえ、子供たちの安心と、教育活動の充実も最優先事項です。そのことと、網の目を細かくすることとを、高いレベルで両立すること。それがこの頃の、先生方の苦しみでも、またやりがいでもありました。
その一環の取組に、給食前後の、机の上の消毒がありました。原則的に、担任の先生が、全児童の机にスプレーで消毒液を吹く、それを児童が、持参の清潔な布巾でぬぐい広げるというオペレーションでした。
3年生の昼休み、片付けを終えた後、消毒を済ませた児童は我先にグラウンドへ飛び出していきます。ところが、彼の動きは少し違いました。
🌷今はいなくても、同じグループの仲間だから
彼は、先生にお願いして、その日休んだ子の机上に消毒液を吹きかけると、自分のティッシュペーパーで、その子の机を拭き始めました。これは、担任の先生の発想を超えており、先生は、彼を称えつつ、思うところを尋ねました。
「今はいなくても、同じグループの仲間だから、ちゃんと拭いた方がいいと思って」
実直な彼は、言葉少なにそう答えました。
定例の職員打合せで、このことを聞いたとき、穏やかで、礼儀正しく、いつも周囲に優しさのアンテナを向けている彼らしいエピソードに感動しました。
実際に、今日使用されていない机に、そこまでする必要があるかないか、ただでさえ短いその子の昼休みを効率的に過ごすことの方が大切ではないのか。
大人の感覚では、異論があるでしょう。合理性に軸を置くなら、こちらの主張が優位かもしれません。
しかし、彼が彼なりの真実を尽くそうとしたこの行動とそれを支えた思いは、そうした小理屈が混じり込む余地のないほど純粋で、美しいというほかありません。学校が真に子どもたちの人格の完成をめざし、心の豊かさを培おうと願うならば、この事実を、学校に関わる全ての人で共有し、そんな仲間と共にあることを祝福し合わずにはいられません。
そんな日々の積み重ねが、学校に、内に強靭さを秘めた、春のような温かさを培うのです。この日のあなたの行動も、あなた自身の内から自発した力と、これまでの日々の中で、仲間が発した心の力が、よく影響し合ったかもしれません。そうして、あなたの力を自分の力にする人が、これからも途切れることなく続くでしょう。
あなたを誇りに思う。
そんな思いでお伝えしました。
かけがえのないあなたへ。
素敵なきらめきをありがとう。
出会ってくれてありがとう。
生まれてきてくれてありがとう。
どうか、ありのままで。
どうか、幸せで。