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春のような温かさがいつもある学校に… 同調圧力を超えて 〜心の宝物337
🌷柔らかな笑顔で
コロナ機の学校
三棟並んだ校舎を、南から順に一舎、二舎、三舎と呼んでいました。北端の三舎から、とりわけ冬季は、息をのむように美しい白銀の峰々が遠望できることはここでも度々触れてきました。
この日の掃除時間も、全校を巡回しながら、3階の4年生のフロアへ上がりました。冷たく冴えた冬の空気のおかげで、ひときわ美しい山々を目にしつつ、廊下から階段へさしかかりました。
そこに彼女がいました。
階段を一心に磨いています。
窓からの眺望を楽しみながら、のんびりと歩いていた自分を申し訳なく思うほど、懸命な姿でした。
「ありがとう。あなたは強いですね」
そう小声をかけると、柔らかく微笑みを返してくれました。
🌷同調圧力を超えて
彼女の周囲の空気は、彼女が背中から発する気迫や熱量とは、少し違っていました。ざわつき、ややなおざりな動作等、冬の掃除のつらさや、人目の届きづらい階段という場所特有の、セルフコントロールの難しさ。昨年度、厳しい時間を過ごしたことによる心の疲れ。そうした悪条件に、非常にわかりやすく翻弄されていることを示す子が、そここに少なからずいます。
それもまた、学びの一過程と、私は微笑ましく眺めていました。
しかし、そういう状況の中で、真剣に取り組むこと、すなわち「真面目に取り組む自分」を選択し、実行することは、大人が考えるよりはるかに困難だと思います。
集団としてのモラルや願いが共有されていないとき、子どもたちが意図せず発する、マイナス方向への同調圧力は、非常に強力です。それを跳ね返して、プラス方向に行動することは、時に「からかい」や「冷やかし」等他からの「引き下げ行為」を誘発する可能性があるからです。それによって自分が傷つく大きなリスクを伴う行為であることを、とりわけ4年生の児童の多くは、経験的に体得してしまっていました。
彼女のお父様とは、担任として中学時代を共にしました。明るく、元気で正義感が強く、しかしバランス感覚のある、クラスの人気者でした。
お父様譲り、などと簡単に言ってはいけないと思います。しかし、大人の男に成長した彼が、父として、愛する娘に届けた、自分が自分であることへの、小さくても確かな自信が、彼女の中に間違いなく息づいていることを実感し、非常に温かい気持ちになりました。
君の選択と行動に心から敬意を表したい。
なぜなら、それは、君が思うよりもはるかに、大きな心の力を必要とすることだからだ。
そして同時に、そんな君の姿に、すぐに学ぼうとしないながらも、決して冷やかしたりからかったりしない仲間たちにも敬意を伝えたい。
見えづらいかもしれないが、それは、仲間たちも、自分と闘い、乗り越えた証だからだ。
君の姿が、彼らの心の深いところにある真実のようなものを揺さぶったのだ。おかげで、彼らは自分でもそうと自覚せぬまま、なりたい自分の方向へ歩み始めている。
君のおかげだ。
君と、君のご家族に、心から敬意を表したい。
かけがえのないあなたへ
素敵なきらめきをありがとう
出会ってくれてありがとう
生まれてきてくれてありがとう
どうか、ありのままで
どうか、幸せで