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春のような温かさがいつもある学校に… そこにそれがああると信じて手を伸ばす力 〜心の宝物340

🌷人目のない掃除場所

コロナ機の学校
体育館、外のトイレ、特別教室、学年室等の余裕教室、児童や先生の、メインの動線から外れた階段。

幾度か触れてきたように、大規模校の校舎を、小規模校の人数で使用する学校でした。一つの場所を担当する児童や職員の数の減少により、よくも悪くも、掃除中の自分に注がれる人の目は薄まりがちです。とりわけ、上にあげた場所は、掃除時間前後の人通りも少なく、子どもたちにとっては、ほっとできるお気楽な場所でも、自分が試される厳しい場所でもありました。

4年生の彼女は、音楽室の担当の一人でした。

🌷そこにそれがあると信じて 手を 心を届ける

音楽室の担当は、彼女とあと二人の男子でした。
開け放したドアから私が顔をのぞかせると、それまで、黒板の前あたりで、すっかりリラックスしていた二人の男子は、慌ててほうきを動かし始めました。

彼女は横長の部屋の反対側で、背を向けて雑巾で床を磨いていました。私が訪問したことにも、男子の気配が変わったことにも全く気付くことなく、集中していました。

近づいてようやく私に気づき、無言で小さく会釈をくれると、また掃除に戻っていきます。
私の目には、十分にきれいになっている、床と壁の際を、右から左へ、雑巾の角をその隙間にさしこむように使いながら、右から左へと拭いていきます。
するとどうでしょう。
向こうの角からこちらの角へと拭き終わったときには、ふわりと大きなほこりの塊ができました。これほど汚れていたのだと驚かされました。

彼女は、野球選手です。運動能力が高く、男子に交じってもチームの中心でした。その視野の広さや、あきらめない意志の力を、掃除の姿に垣間見た気がしました。

例え目には見えていなくとも、そこには必ずそれがあると信じて見つめ続け、手を伸ばすことに怯まない。
掃除であれ、教室での仲間との営みのであれ、プレーの中であれ、君の視線がとらえ、手を差し伸べたことで、現状がはるかによくなった場面は数多い。
見えないけれどもあるかもしれないと想像する力、そこに手を伸ばして行動する決断力、あきらめない意志の強さ。君を構成するこれらの力が、救ったり、鼓舞したりした仲間は数多い。

知らなかった、見えなかったことを、自分が何もしない理由にはしない。こういう生き方を実践できる人がどれほどいるだろう。
君にあこがれる。
君を尊敬する。

かけがえのないあなたへ
素敵なきらめきをありがとう
出会ってくれてありがとう
生まれてきてくれてありがとう
どうか、ありのままで
どうか、幸せで

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