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春のような温かさがいつもある学校に… 何度転んだって練習するよ 〜心の宝物124

🌷一輪車に乗ろう!


山に囲まれた小さな学校
「今年中に全員が乗れるようになろう」
そんな声をかけ合いながら、2年生は一輪車の練習に取り組んでいます。楽し気な笑顔を見ると、慣例の破棄を決断してよかったという思いと、即断を快く支持してくださった先生方への感謝の念を禁じえません。


その分、自分もできることをしようと、今日も、グラウンドの南端に設置された一輪車スペースへ向かいます。

その頃にはすでに早い子が乗り始めています。自力で乗れるようになった子は「校長先生、見とって!」と声を投げつつ、バーを離れて私に向かってきます。はじめは数メートルで足つきしていた子の距離が少しずつ伸び、やがて途中で待っている私のところまで達します。差し伸べた手につかまって、ほっとした、そうして得意げな笑顔に、全身に温かいものが広がります。
「よし、あと半分でグラウンド横断だ。行っておいで」
そう言って、送り出し、私はバーのところへ、まだ乗れない子たちのところへ向かいます。

秋、彼はまだ、そこにいる一人でした。

🌷乗れるようになる。だから何度転んだって挑戦するよ


そんな素振りを少しも見せませんが、彼は格闘技を学んでいました。2年生ながらすでに年単位のキャリアを持っており、技量も相当でした。負けず嫌いで、練習や試合のときは顔が変わるとお母様からうかがっても、にわかに想像がつかないほど、普段の彼はにこやかで穏やかです。心遣いも細やかで、流し台の掃除をしているとき、マグネットで貼ってある掲示物をわざわざ外し、隠れていた壁面を磨く姿には感動しました。

そんな彼ですが、一輪車の習得には苦労していました。バランスよく乗るポジション取りに苦心し、すぐに、それも結構激しく転んでいます。
「両手でバーをたどりながら練習すると、バランスをとりやすいよ」
そうアドバイスするのですが、それを潔しとしないようで、
「転んでも痛くないから大丈夫。そのうちに絶対に乗れるようになる。だから、何回転んでも、手を放して練習するよ」

厳しい格闘技のトレーニングの経験を通して、体得し、自ら決めた課題の克服法なのでしょう。
信念と粘り強さと、自身への密かな、しかし確かな自信。それが、あなたの日常の穏やかで細やかな視線や言動を支えているのだね。私もまだまだ。何回転んでも、挑戦し続けるよ。
勇気をもらったよ。ありがとう。

そんな思いで、お伝えしました。

かけがえのないあなたへ。
素敵なきらめきをありがとう。
出会ってくれてありがとう。
生まれてきてくれてありがとう。
どうか、ありのままで。
どうか、幸せで。

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