春のような温かさがいつもある学校に… 階段下のアート 〜心の宝物298
🌷階段下のアート
山に囲まれた小さな学校
3学期が始まり、しばらくたったある日、小さいけれど、素敵な変化に気づきました。
校舎の中央階段の下に、雑巾かけが設置されています。階段やフロアを掃除する子たちの雑巾がかけてあるのですが、そこにかけてある雑巾が、整えられていました。
それも、例えば使用後の一人一人が、整頓を意識してかけるようになったという程度の整い方でなく、徹底された美しさです。
一枚一枚の雑巾が、きちんと真ん中で折りたたまれ、真半分のバランスでかけられています。一枚ずつしわが伸ばされ、アイロンをかけたように美しい雑巾が、等分の間隔で並んでいます。
明らかに、整えた人が全体の調和を考え、「美しさ」にこだわって仕上げた姿でした。人が、精魂込めて挑み、仕上げた作品の完成度がありました。
薄暗い階段下の空間から、光と、さわやかな風を放つようなそれは、まるで芸術品のように、心を打つものがありました。
🌷周りが少しでも 明るく 楽しくなるように
次の日の掃除でわかりました。
その作品の作者は、2年生の彼女でした。
遊びも、掃除も、挨拶も、明るく全力投球。朗らかで物おじしない、素敵な人でした。彼女がそこにいて、何かを話したり、おどけたりするたびに、周囲に笑顔の輪ができます。
彼女は、掃除を終えて他の子たちが昼休みへと急ぐ中、仲間が、それでも決して乱暴にかけてはいない雑巾を、丁寧に整え直し、美しくかけていきました。
「ありがとう。まるで、きれいな作品みたいですよ」
敬意を伝えつつ、故を尋ねてみました。
「きれいなほうがたのしく見えるから」
彼女は、はにかみながら、笑顔で答えてくれました。
周りが少しでも、明るく、楽しくなればいい。その方が自分も楽しい。
あなたが、自分の言葉や行動を選び取る物差しの一つは、自分と仲間の笑顔なのですね。
そう意識しているとあなたから聞いたわけではもちろんないけれど、あなたを見ていれば、あなたの声を聞いていれば分かります。私だけでなく、クラスの仲間も、全校のみんなもきっとわかっています。
あなたがしてくれたことは、その場所を明るく照らし、さわやかな風を吹かせてくれています。
雑巾かけという、美しくない方向へ乱れがちなものを、全く逆の、美しい絵のような、人を幸せにする芸術作品に作り変えてくれました。
雑巾かけでさえ、心を込めて整えれば、美しい作品のようになり、仲間の笑顔を誘うことができる。あなたが創ってくれた事実は、この学校の新しい文化として、これからも引き継がれていくと信じます。
かけがえのないあなたへ
素敵なきらめきをありがとう
出会ってくれてありがとう
生まれてきてくれてありがとう
どうか、ありのままで
どうか、幸せで