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春のような温かさがいつもある学校に… お花だって痛いんだよ 〜心の宝物126・127・128

🌷あ、たいへん!


コロナ機の学校
ある月曜日、登校してきた1年生が大騒ぎしていました。
週末の間に吹いた野分の風が、校舎の軒下に並べていた朝顔の鉢を全て吹き倒してしまったのでした。中には鉢からこぼれている株もあります。水をあげようと集まってきた子供たちはうろたえ、中には、半泣きになっている子もいました。

多くの子がなすすべもなく立ち竦んだり、いたずらに嘆き騒いだりするしかない中、
「あ、たいへん!」
そう叫びつつ、最初に行動を起こしたのが彼女でした。

🌷お花だって痛いんだよ


彼女は心身共に、とにかく瞬発力のある人でした。明朗、活発で、校庭の鬼ごっこでは、1年生ながら見事なステップでかわすと校長を置き去り。遠くで手を振り、おびき寄せては引き離しを繰り返してご満悦です。しかし、義侠心に厚く、遊びの最中に誰かが転んで泣いたりけがをしたりしようものなら、どんなに離れていようと駆け付けてきます。そうして声をかけ、頭をなで、背中をさすりながら保健室へ連れて行くことを自分のミッションとして任じている、そんな志がありました。

仲のよい彼女もすぐに続きました。あまり多くを語る人ではありませんが、その分、周囲をよく見ています。その視線は優しく温かく、その視野にとらえた気づきを実行するときの決断力や行動力は、先の彼女に勝るとも劣りません。前向きに周囲と折り合うことが判断の軸になっており、行動もぶれることがないため、彼女の周囲ではトラブルはまず起きることがなく、仲間からひそやかな、しかし確かな信頼が寄せられていました。

おとなしいイメージの彼女も即座に動いたことは、うれしい驚きでした。消極的ではなく、謙虚。前に出ることが、誰かを押しのけることになるなら、私は決してそうはしない。しかし、その眼は確かに正義や真実をとらえていること、そうして決意したときには全力で行動することにいささかも怯まないこと。いつも仲間の半歩後ろで、穏やかに微笑んでいるイメージの彼女の芯が強靭に輝いていることを実感することができました。

 鉢を起こし、こぼれた土を掌ですくって戻し、足りない分は傍らの花壇から補います。半ば鉢から脱してしまっていた株も土を補って戻し固めます。支柱から外れてしまっていたつるは、注意深く、優しく巻きなおします。

やがて呪縛が解けたように、手伝う子が出てきましたが、それまでに、3人でほとんどの鉢を戻してくれました。

「ありがとう。よくやってくれましたね。おともだちも、あさがおもきっとよろこんでいるよ。わたしも、ほんとうにうれしいよ」
ねぎらいました。

「だってはやくしてあげないとかわいそうだよ」
「おはなだって、いたいんだよ」
こんな言葉が返ってきました。

ああそうなんだ。
あなたたちの行動は、こわれたものを直すとか、誰かのためにとか、頭で考えたからではないのだね。それよりもっと素直に、心で感じて体が動いたのだね。
誰かの涙やけがにすぐに気が付くように、寄り添わないではいられないように、目の前のおはなに、いたみやかなしみを感じとって、できることをしたんだね。

やさしくてつよいあなたたちをとてもすてきに思います。そんけいします。

そんな思いで、お伝えしました。

かけがえのないあなたへ。
素敵なきらめきをありがとう。
出会ってくれてありがとう。
生まれてきてくれてありがとう。
どうか、ありのままで。
どうか、幸せで。

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