春のような温かさがいつもある学校に… 人には優しく 自分に厳しく 〜心の宝物232
🌷4人のメリーゴーラウンド
山に囲まれた小さな学校
運動会に向けた、3年生の一輪車の取組の中で、彼女は大黒柱でした。元々運動能力が高く、以前から親しんでもいたことから、仲間に声をかけながら、演技をつくりあげていく中心となりました。
一輪車4台で表現するメリーゴーラウンドというものを、この学校に赴任して初めて知りました。二人で手をつないだ一組の一人が、同じもう一組の一人と、動きの中ですれ違いざまに手を繋ぎます。一組は前向き、もう一組反対向きの4人の連なりができます。つながれた手を中心に、それぞれが前進することで、横一列の連なりが、円を描くように動く様子をメリーゴーラウンドに見立てた演技です。
動き出してしまえば、華麗で華やかな演技ですが、手をつなぐタイミング、一本の線になった状態で整えるバランス、二つのペアが、それぞれ前進するときの、内側、外側の児童が微妙に変えて漕ぐスピードの調整。一見すると、華やかで、楽しい演技ですが、成立させるためには、多くの、細かで困難なハードルを、全員で越える必要があります。
彼女のラインには、まだ、一輪車を操ることさえ、いや、乗ることすら覚束ない子もいます。なかなか一本の線としてつながらない、ようやくつながっても動けない、動き出したかと思っても、ペアの二人の、またはペア同士のスピードの調整がうまくいかず、ぐねぐねとなったあげくに転んでしまう。
そんなことをどれほど繰り返したでしょう。しかし、その間、彼女は決して笑顔を失わず、仲間を励まし続けました。
🌷人に優しく 自分に厳しく
お互いの思いがかみ合い、運動会の演技は成功しました。それが4人の自信となり、その後も練習を重ねて、福祉施設では、更に完成度を高めた演技を笑顔で披露しました。
あの頃の拙さがうそのような、息の合った演技に胸が熱くなりました。
どんなときも仲間を励まし続けた彼女の優しさは、マラソン大会に向けた取り組みで、自分自身には厳しさとして向けられました。
当時でさえ、様々な事情で、廃止される傾向にあったマラソン大会が、この学校には、伝統として生きていました。一日何周、当日までに何周と個人で目標を定め、距離を換算して、名古屋まで、東京までと、カードを作って取り組みました。
彼女は、同学年の他の子よりも高い目標を立てていました。6年生のお兄さんに負けまいとするかのように、寒風の中、汗を流して走り続けました。前へ前へと自分を駆り立てる真剣な表情は、一輪車の練習で、仲間を励ましているときの穏やかな笑顔とは別人のようでした。
人には優しく、自分に厳しく。
人と人とが、良い関係を築きながら、共に成長したり、何事かを成し遂げたりするための心得として、昔から、たくさんの偉人が、そういう意味の言葉を残している。
それだけ大切だけれど、それだけ難しいということだと思う。
私はよわいから、意識しないと、どうしても逆になりがちだ。
そんな風に意識しないで、君のように、自然にできる人はそれほど多くないと思う。
そうすることが、自分も周りも笑顔にすることを、自分の姿で証明できる人にあこがれる。
私も、君のようにありたいと願い、努力し、実践し続けることを改めて心に決めました。
君のおかげです。
ありがとう。
そんな気持ちでお伝えしました。
かけがえのないあなたへ
素敵なきらめきをありがとう
出会ってくれてありがとう
生まれてきてくれてありがとう
どうか、ありのままで
どうか、幸せで
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