![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/154948246/rectangle_large_type_2_ba19c99e8e2d42b2145229b4818a97af.jpg?width=1200)
春のような温かさがいつもある学校に… 当たり前のことをしたまでです 〜心の宝物273
🌷その選曲をしたんだね
山に囲まれた小さな学校
12月を締めくくる「歌声集会」の、全校合唱の曲が、歌声委員会によって決定されました。
曲目は「あわてんぼうのサンタクロース」でした。
もうすぐクリスマス。最後に全校で楽しい曲を歌って締めくくりたい。委員長である、6年生の彼が強く推したということでした。
「大胆な曲を選んだものだ」
集会でそのことが発表されたとき、内心こう思いました。
中学校の教諭を長く務めました。担任をしていた間は、ほぼ毎年「合唱」活動がありました。まだ経験が浅かったころ、学級の歌に、子どもたちの言うままにテンポの速い流行歌を選曲。斉唱にすらならず、子どもたちを失敗させてしまった苦い経験がありました。
それとは意味合いが違いますが、早熟な子の多いこの年の高学年には、別の意味でハードルの高い曲です。
そこをどう越えていくのか。楽しみにしていました。
🌷「あたりまえのことをしたまでです」
全校練習の日、ステージ上の最前列には、歌声委員長の彼の姿がありました。
伴奏に合わせて、明るい表情で、楽しそうに歌っています。
「見本や手本を示す」といった気負いのようなものはみじんも感じません。
間もなくやってくるクリスマス。その日を、学校の全員が笑顔で迎えている。きっと彼が見ているに違いない、心象風景が立ち上がり、その場にいる全員でそれを共有しているように思えるほど、力のある姿でした。
とはいえ、下級生はともかく、高学年児童はやはり恥ずかしそうで、彼の気迫にはなかなかついていけません。
そんな迷いを見て取ったのか、彼は歌う合間に、
「これくらいの声で歌うと楽しくなるよ!」と、ステージ上から体育館いっぱいに届く大きな声をかけました。
普段の彼は、そういう言動が得意なわけではありません。寧ろ、静かに微笑みながら、リーダーをフォローするタイプです。
その彼が、自ら楽しげに歌うだけでなく、声を出して、自分たちを奮い立たせてくれようとしている。その思いは、仲間たちに真っ直ぐに届いたようでした。
6年生の元気な男子集団も、照れ隠しに、やや乱暴で、若干調子はずれの、それでも、彼に負けないほどの大きな声で歌い始めました。
温かな空気が、体育館に広がりました。全校の絆と安心がまた一つ高まったことを、そこにいる全員が感じていました。
集会の後、多くの先生が、彼の行動を称賛されました。
しかし彼は、「歌声委員長なのだから、あれくらいあたりまえです」
と、平然と受け止めるばかりです。
その泰然自若ぶりから伝わる、彼の強い責任感や、強靭な感性は、その週の打ち合わせの大きな話題になりました。
かけがえのないあなたへ
素敵なきらめきをありがとう
出会ってくれてありがとう
生まれてきてくれてありがとう
どうか、ありのままで
どうか、幸せで