春のような温かさがいつもある学校に… そこまでして君は そのことに取り組むのか 〜心の宝物276
🌷ただただ懸命に まっすぐに
コロナ機の学校
4年生の彼は、実直な人でした。学級では、多くを語らないほうでした。しかし、物事を見極める目はまっすぐで、自分の言葉や行動を判断するときの軸は決してぶれません。
仲間のムードが安易に流れてしまうときでも、自分は決して付和雷同せず、落ち着いて踏みとどまります。
器用に立ち回ったり、強力なリーダーシップを発揮したりするタイプではありませんでしたが、どんなときにも誰かを責めることをせず、懸命に、真っ直ぐに取り組む人でした。静かなたたずまいの内に秘めている彼の強靭さは、周囲からも信頼されていました。
🌷そこまでして 君はそのことに取り組むのか
ある日の掃除の時間でした。4年生の廊下で、彼の姿が目に留まりました。
彼は、壁に設置してある消火栓を拭いていました。
力を込めて、懸命に、金属部分を雑巾で磨いていました。よく見ると、何かがこすれたのでしょうか、盤面を斜めに走るように付着した黒ずみが、中々落ちないようです。
その場所は、彼の体格からすると、立っては拭きづらく、座っては力が入りづらい、とても中途半端な高さでした。
そこを、彼は中腰になって、しかも、力を込めて、懸命に拭き続けています。腰痛持ちの私は、見ているだけで、腰が痛くなるようでした。彼にとっても、腰への負担は相当なようで、時折立って腰を伸ばします。しかし、すぐにまた挑むように、作業に戻ります。
威張らず、騒がず、しかし、そうした方がよいと決意したことからは決して逃げない。そのたたずまいに、彼の彼らしさを見た思いがしました。
いつ付着したのかもわからない、赤い金属板のかすかな黒ずみ。
きっと君も、取りかかった瞬間は、一拭きで消し去ることができると思ったことだろう。
しかし、とてつもなくしつこい黒ずみだった。
そこであきらめることもできただろう。
「これは簡単に取れる汚れではない」と判断して、例えば次の掃除の機会に、専用のクリーナーを準備して再挑戦するとか、もっと簡単に先生に報告して対応をお願いするとかの選択もあっただろう。
しかし、君は、その時間に自ら消し去ることを選んだ。どれほど腰が痛んでも。
そこまでして、君はこのことに取り組むのか。
自分が気づき、決意したことに、忠実でありたいと、私も、きっと多くの人も願っている。しかし、やはり、ことによっては、それは決して簡単なことではない。特に、自分の心身に、痛みが走るような場合には、一呼吸置くことも一つの選択ではある。
それは是非共有してほしい。
しかし、それを伝えた上で、今日の君の雄々しさに、大きな勇気をもらったことも、明確に伝えるよ。静かな君が内に持つ強靭さにあこがれ、尊敬する。
そんな思いでお伝えしました。
かけがえのないあなたへ
素敵なきらめきをありがとう
出会ってくれてありがとう
生まれてきてくれてありがとう
どうか、ありのままで
どうか、幸せで
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