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高い物も難なく売る人

 今回は、営業あるあるの一つと言えるテーマです。どんな会社であろうと関係なくお客様へ営業にいくと「御社の商品は高い」と言われた経験はないだろうか?この「高い」と言われる定義は様々な場合があります。単純に他社比較で高い場合もあれば、実際に最安値を出したにも拘らずお客様の価値観に対して高いと言われる場合もあります。実は、このお客様から言われる「高い」は、そこから結果を分ける大変重要なポイントとなるキーワードなのです。なぜ「高い」と言わせることが重要なのか少し解説してみたいと思います。

 先ず基本的な事ですが、物を購入する際は、誰もが欲しい物を少しでも安く買いたいと思っています。それにより、価格比較サイトというビジネスが成り立ったり、ECサイトにおいても、価格比較が出来るようなモール型のビジネスが成り立つのです。誰も価格を気にせず物を購入する場合、とにかく一番初めに見た物を購入して終わりになるでしょう。そして、実際に欲しかった物がどれだけ頑張っても購入できる金額で無い場合、ほとんどの人が「高い」など具体的な価格の話に触れる事はありません。例えば、軽自動車に乗っている人が、グレードアップして一般的な乗用車・セダンを購入したいと思った時に、少し予算オーバーであれば「高いからB(他の選択肢)もみてみよう」と言った会話になります。しかし、多少の予算オーバーレベルではなくさらにアッパーなランクのベンツの最高級セダンをみた際は、もう「高い」とかの議論ではなくなるのです。格好良い、ドリームカー、憧れなど、購入ターゲットの世界とは別の世界観から出てくる言葉になってくるのです。

 このように人の持つ「高い」の価値観とリアクションから考えた際、先ず「高い」と言わせるのは、重要なポイントになるのです。そしてなぜこれが重要なのかと言うと、そこから自分が「なぜ高いのか?」を説明する前振りが出来たからです。少し先走って考えると、お客様にとっての「高い」は「なぜ高いのか?」という疑問と興味に繋がるからです。ここで多くの営業の方は、高いですよね・・・と諦めムードになってきます。しかし、ここからが、勝敗を分けるチャンスなのです。一般的に高いと思われる商品を自分の会社からただ黙って売らされかけていた立場から、何故高いのかをお客様へ説明する絶好のチャンスをいただいているのです。よって、ここからは、その商品が持つ価値観をどんどん嘘のない範囲で大きく伝えていけばよいのです。自社ブランドで展開している場合、「○○の点に関しては、自社独自にマーケットリサーチを○年かけて一番使いやすいと思われるデザインになるまで試作を○○回重ねてようやく完成した製品です。」などと、製品化の際一般的に行われる試作であっても、いかに努力を重ねたかを伝えたり、カタログには一般的すぎて書けないような価値観の部分も具体的に伝えていくのです。この心理的な価値観が伝わり出すと、実際の値段の価値にも転換され単なる他社との比較対象ではなく、その商品価値に見合った価格として受け止められていくのです。

 とにかく「高い」と言う言葉は営業からするとネガティブに受け止めがちですが、「高い」=「興味の目を向けさせた」と思えば勝ちなのです。実際に車を購入した事がある方にも、これと似た体験はあるのではないでしょうか。お店の方からいろんな話を聞いているうちに、決めていた予算をオーバーして、少しグレードの高い物や、初めは考えていなかったオプションまでつけてしまったりと言った事です。このように、本来の価値・価格を変更するのは難しいかもしれませんが、お客様が感じる心理的な価値・価格は唯一営業の立場から変更が出来る重要なポイントなのです。

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