ささやかだけど楽しめることを探して【認知症ケア】
要介護4で寝たきり、認知症のmy母(86歳)。発声・発話・筋力など衰えていますが、生きる気力はかろうじて健在。一緒に楽しめる何かを探していたのですが、お正月きっかけに、そうだ、福笑いだ!とヒラメキました。
福笑いは筋力も知恵も不要で、目を閉じてやみくもに置けばただ楽しい。とても素敵な遊びです。
そんなわけで年末に福笑いを探したのですが、おかめとひょっとこくらいしか見つかりません。それなら簡易的に自分で作れるのでは?と、絵を描きカラーコピーして作りましたが、いまいちの仕上がり。他にはないものか、、と物足りなさを感じていたところにFrying TigerでSticker Book -funny faces-という顔のシールブックを発見しました。目鼻口シールと顔形のバリエーションです。これだ!と嬉々としてお買い上げしました。
お正月を迎え、自作おかめ福笑いとそのFryingTigerの顔シールブックを小脇に抱え、いざmy母の部屋へ。
最近では寝てばかりの母ですが、遊びに行くと頑張って起きてくれます。外は疲れるようで、部屋で一緒に過ごすことを望みます。部屋に着いて母に、福笑いで遊ぼう、と提案すると、ニヤッと笑いました。ベッドから起こし、横に並んで座り、いざ、福笑い!
まず軽いジョブとして自作福笑いをトライ。目隠しはしづらかったので薄目で置いてできた顔に「えへへへ」と2人で笑いました。でもなんだか一回で飽きました。きっと自作クオリティの限界でしょう。
さて顔シールブックの出番です。顔形を選んでもらってブックから切り離し、「次は目だね」「どこに貼る?」と会話をしながら顔ができていきます。結局、本人がつまんで貼ることができず、私がシールを剥がして「このへんがいいかな?」と伝え、my母がうなづいたら貼ります。
かれこれ4つの顔を作ったのですが、出来上がるたびに大笑い。というのも、目をあけながら置く福笑いなわけです。2人とも目が開いている。それなのに想定外の顔ができる。
指示をあおぐ私は「なんでここに置きたいのか?」と笑いをこらえて置きます。my母にとっても仕上がりを見て「こんなはずじゃなかった」という顔が出来上がるらしく、できあがって大爆笑。
最後は「笑いすぎてがお腹痛いね」とふたりで大盛り上がりでした。
出来上がった顔に名前をつけました。
左上から右に「気取ってる人」「鼻と口が近い人」、左下から右に「ふぐたさん(なぜ!?)」「パーマ」。my母の部屋の壁に貼りました。
きっとmy母は、なんでこの顔の絵が貼ってあるのか速攻で忘れてしまうでしょう。それでもいいのです。また次週、正月過ぎても、飽きるまで遊んでみます。顔シールを使った「開運福笑い」ならぬ「開眼福笑い」は、認知症だからこそできる、特別な楽しい遊びなのです。