ユナニ医学について
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先日、イギリスの教育機関が開催したユナニ医学(Unani:正しい発話はユーナーニー医学)のコースを受講修了しました。復習のためにも、少しずつ内容を紹介していこうと思います。
今回はインドにあるアリーガル・ムスリム大学(Aligarh Muslim University)のユナニ医学博士に教わった導入編の紹介です。
ユナニ医学とは?
ユナニ医学は、ほかにもペルシア医学、イラン医学、イスラーム医学、ギリシア・アラブ医学ともよばれています。古代ギリシアで形成されたため、ユーナーン(ペルシア語で「ギリシア」)の医学という意味で、ユーナーニー「ギリシアの」と呼ばれています。このユナニ医学は、アラブとイランのムスリムによって発展し、17世紀までヨーロッパで世界的な医学として用いられていました。ちょうどその頃、アーユルヴェーダももちろん存在していました。
ユナニ医学は、アーユルヴェーダや中国医学と同様に世界保健機関(World Health Organization : WHO)にも独自の発展を遂げた医学のして認められています。現在でも、代替医学や健康資源、ヘルスケアに応用されています。アーユルヴェーダー、中国医学、ユナニ医学は世界三大伝統医療とも称されています。
インドでも、2014年に伝統医学省(Ministry of AYUSH)が設置され、この伝統医学にユナニ医学も含まれています。このAYUSH(アーユーシュ)には2つの意味があり、Ayurveda(アーユルヴェーダ)、Yoga(ヨーガ)、Unani(ユーナーニー)、Siddha(シッダー)、そしてHomoeopathy(ホメオパシー)の頭文字をとった略称であること。そしてもうひとつは、サンスクリット語でAyushは、「再生・復活・長寿」のような意味があります。
ユナニ医学の特徴
ユナニ医学は不調な部分の治療に集中するわけではなく、ひとひとりの全体を観察しながら、全体と細部の調整を行いながら治療を施していきます。そのため、当然ながら年齢や性別、その人の体質に至るまで、様々な根拠に基づいて治療を決定していきます。そして、最も特徴的なのはズバリ、薬。処方する薬も自然由来のものが用いられます。なかには、鉱物を使用することもあるそうですよ。
ユナニ医学は不調を正すだけではなく、予防医療やリハビリも施すことができます。
世界各地に存在するユナニ医学
現在、インドを中心とした国々で広く普及しています。インドにおけるユナニ登録医師「ハキーム(hakim)」は5万人に達します。主に、大学教育でユナニ医学について学び、正式にユナニ医師として登録されたのち、病院や医務室、クリニック、薬局などで診察を行います。登録医師は薬を調合する法的権利を有してており、医師の指示で調合する薬局も登録制になっています。同様に、パキスタンやバングラデシュでも、ユナニ医学は身近であり、盛んに研究が進められています。
一方、ヨーロッパ、アメリカ等では、部分的に知られている程度で、公式な医学として認められていないませんが、個人的もしくはオンラインで実施されているようです。
中東・アジア地域、例えばイラン、中国、UAE、クウェート、スリランカ、南アフリカ等でもある程度は普及しており、準公的な医学と認識されています。
ユナニ医学の歴史とその貢献者
ギリシア生まれのユナニ医学が、どうしてインドで普及・発展しているのか?
メソポタミア・古代エジプト(紀元前3100年)の時代の医学は、霊的なことが優先されている。預言者ムハンマドの教えや、ハムラビ法典、最も古いギリシャの医学哲学者であるピタゴラスにも、当時の医学的観点がみてとれるだろう。
その後、ヒポクラテス(紀元前460年)が、それまでの呪術的医療とは異なり、健康・病気を自然の現象と考え、臨床実験を経て、科学に基づく医学の基礎を構築した。次に登場するガレノス(紀元前129年)が、ユナニ医学の基礎をつくり、ユナニ医学の教育を推進した人物となる。彼は臨床医として解剖などを行い、その医学的功績は古代ギリシャの業績となった。そのなかの四体液説は、ユナニ医学の根幹をなす思想となっています。
その後、ユナニ医学は多くのムスリム研究者によって発展を遂げていきます。そして、ムガル帝国の侵攻とともにインドにやってきたユナニ医学は、ムハンマド・アズム・カーン(Mohammad Azam Khan)の著作Ikseer Azam, Muheet Azam, Qarabadeen Azam等によって更なる広がりをみせる。
ユナニ医学は、インドでさらに発展を続ける。ハキーム・アジュマルカ・カーン(Hakim Ajmar Khan: 1868 – 1927)は、ユナニ医学の教育基盤を構築した。インドのデリーにあるアーユルヴェーダ・ユナニ ティッビア大学(Ayurvedic and Unani Tibbia College)の創始者であり、ジャミアミリア・イスラミア大学(Jamia Millia Islamia)の創始者のひとりでもある。いわば、インドに本格的なユナニ医学研究を築いた祖になるだろう。
もうひとり、同様にユナニ医学研究の発展に貢献した人物として、ハキーム・アブドゥル・ハミード(Hakim Abdul al-Hameed)もあげられる。彼は同じくインドのデリーにハムダルド大学(Jamia Hamdard)やアリーガル・ムスリム大学(Aligarh Muslim University)の総長を務めており、ハムダルド研究所を設置して、ユナニ医学研究の発展に貢献している。
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