待つ力こそ、現代に必要な能力だ。
常識を疑え。
私はひねくれものなので、主流や時世のトレンドに懐疑的な視線を向けるのが常である。そして、実際に、主流や時世のトレンドから外れたところに本質を見出すタイプだ。(本質というのは、固定で唯一ではない、が持論だ)
ところで。
私は1冊の本をじっくり読むのではなく、何度も繰り返して理解を深めていく。名付けてミルフィーユ読法 。
さらに、同時に数冊読み進めていく。
気分や時間帯や状況によって、読む本を変えていくわけだ。
今回たまたま、ミルフィーユで同時進行した本の内容が「偶然」にリンクし、私の心に星がひとつ、コロンと落ちてきた。
ぜひ下記での音声配信を聞いてほしい。
前回も紹介した『村上春樹、河合隼雄に会いに行く』。届きそうで届かないむずむずする本だと書いたが、今回は少し届いた感がある。
「ヒト」が育つということ
20年以上教育業界にいて、キャリアを積めば積むほど違和や苦しさを感じてきた理由のひとつが分かった。
「偶然」をひたすら「待つ」重要性を、私は忘れていたのだ。
何もかもがスピード化し、効率や論理的正しさが重視されるが、ヒトが育つ過程にそんなもん、持ち込めるはずはないのだ。
保護者も組織(学校や塾や教育機関といわれるすべてだ!)もそれを求めすぎているし、子どももまた、「待つ」ことが苦手で結果をすぐに欲しがるようになった。
「偶然」を信じない。必然を望む傾向が強くなったと感じている。
これは大人の責任だ。
特に、乳児から思春期は「待つ」感性、「偶然」信じる感性を育てる。あるいは、子どもがもともと持っているその感性を、大人が奪ってはいけないのだ。
そして、人生が合理的・論理的に積みあがるものだという、感違いもさせてはいけない。
システマティックでオートメーション化したヒト生産なんて、できるわけないじゃんか。
人生だって、予想外と偶然の連続だぞ。
3冊の本
今回、私に偶然、星をくれた書籍たちは以下。
『子どもを信じること』田中茂樹著
『待つということ』鷲田清一著
『村上春樹、河合隼雄に会いに行く』村上春樹、河合隼雄(対談本)